親父越え
強情ぱりで 職人かたぎ 話せばいつでも 傷絶えず 嫌気がさして 家を出た 親父 いつかは 越えてやるぜ 生意気言うは 十年早い とうに古いぜ その言葉 立派な花を 咲かせるさ 親父 みてろよ 越えてみせる 勢いだけで 上京したが 誇れるものなど 何もない 古傷しみて やるせねえ 親父 あんたを 越えられない 帰った 肩の ちいさな俺に あんたは優しく 酒交わす 親父よ 少し 痩せないか 頼む 親父よ 長生きしろよ 頼む 親父よ 長生きしろよ