お爺の夢
白い満月皓々と 夜を照らして天をゆく 深い雪に包まれて お山はしんしん眠ってる 炭焼きお爺はひとりぼち 夜通し火の番してござる 「大きくなれよ太郎坊よ いまごろ夢を見てるかな」 煙は昇るよひとすじに コンコン泣くのは子狐よ お爺が欲しいとだだこねる 母さん歌うよ子守唄 お爺はうとうと転寝か お目目覚ませよ風邪ひくな 「春になったら山を下り 孫といっしょに遊ぶのよ」 白い満月皓々と 夜を照らして天をゆく お爺の夢をのぞいては 黙って笑って西の空
■information : 企画『21』-8作目の作品