銀色の魚の調理方法
ボンゴレファミリー特殊暗殺部隊ヴァリアーの2は欠番である。
かつてそこには、二代目剣帝と呼ばれた男が立っていた。十四歳で先代のヴァリアーのボス、テュールを倒し、その後百人斬りを成し遂げてボンゴレの二大剣豪と呼ばれたこともあった男である。彼は美しい銀色の髪と白い肌を持ち、性格は傲慢、剣技はまさにスクアーロというその名の通りの凶暴さで、ヴァリアーの隊長ザンザスの副官として、また剣帝として恐れられた。
その彼が、今はヴァリアーの屋敷の地下に幽閉されている。日に三度の食事を与えられ、部屋にはバスルームもベッドもあった。窓一つ無い光の射さぬ部屋ではあったが、彼にはもう世間の時間など関係はない。
ザンザスはスクアーロの部屋のある、地下へと続く階段を降りていた。基盤が石で造られたこの屋敷は足音がよく響く。特に、捕虜を入れておく囚人部屋や拷問室が並ぶ地下は古くに作られた部分であるから、薄暗い明りの下で彼の影は長く壁へと伸び、足音はかつんかつんと通路に木霊した。
スクアーロの部屋は地下でも更に奥まった場所にある。ザンザスがその部屋の前まで来ると、薄く開いたドアの隙間からは荒い息遣いが聞こえていた。息遣いはいくつも聞こえて、その合間には肉と肉のぶつかり合う音が響いている。
「見ろよすげぇぞ、これが剣帝様だったなんてな」
「ホント、俺何度もこの人に怒鳴られたけど…っ、怒鳴る声と全然違って…はぁ…っ」
ドアの隙間から伸びる影は、三人の人間が床に這いつくばった一人を取り囲み髪を引っ張っている様だった。その内一人の下半身は、床に這った人物の尻に押し付けられ、一人は掴んだ髪の束を更に引いて、己の股間へとその人物の顔を押し付けている。交わされる声は吐息を孕んで、ひどく興奮しているようだった。
「あ゛…っ、ひ、ァ……」
泣いているのか、声は引き攣れて高い。喉で掠れて、唇から出る時には空気に溶けかかっている。スクアーロは、裸のまま床に押さえつけられ、かつて部下であった男達に代わる代わる挑まれていた。一人に性器を挿れられ、一人には髪を引っ張られ唇とその奥の粘膜を使い思う様腰を振られる。縫合跡が残る左腕の断面には、もう一人の男が高ぶった性器を擦り付けていた。唇からはだらしなく唾液が滴り落ち、足の間からはもう何度か注がれた精液がぐじゅぐじゅと泡立って垂れ落ちる。床には、スクアーロ自身の精液がいくつかの白濁色の水たまりを作っていた。今も彼のものは高ぶって後ろの男に腰を振られるたびに揺れる。男の手が肉の薄い尻たぶを掴んで割り開くようにすると、恥じらいを忘れた窄まりが赤黒い雄を呑み、引き抜く際には粘膜の赤色を覗かせて引き留めるように吸い付く様がよく見えた。
「う…っ!はぁ…あの隊長が、うまそうにザーメン飲んでるぜ」
「バーカ何がうまそうにだよ。この人もう何も分かってないんだっつーの…あー…たまんね…っ」
「ザンザス…許して、許してくれぇ…」
ひぃひぃと喉笛を鳴らし、揺さぶられながらスクアーロは呟いていた。
彼の口を使っていた男は、引き出した性器を引っ張っていた髪の束で拭い、ようやく服装を整え始める。スクアーロの腰を掴んで揺さぶる男も丁度限界らしく、その動きはどんどん激しくなった。精液で濡れ、ぐちゃぐちゃになったラグが更に捲くれる。左腕の縫い目に自身を擦り付けていた男は、既にスクアーロの顔へと射精していた。剣士として戦っていた頃には無駄の削がれた筋肉を纏っていた体は、この地下室へ幽閉されるようになって一回り細くなった。動かない所為で、付いていた筋肉が落ちたのだ。今では重い剣を振り回していた左腕も右腕も、二の腕の太さは同じになっている。
筋肉が落ち、掴むと骨に当たる体を男は好き勝手に揺さぶる。男が強く掴みすぎる所為で、指の痕は赤く腫れていた。突き入れられては引き出され、また粘膜へ押し入る性器が中に溜まっていた精液を掻き出して、スクアーロの足の間のものは透明な先走りを滴らせていた。
「でも気持ち良いのは分かるみたいだぜ?さすが元ボスの相手…やばい位のマゾだけどな」
「それもさすが元ボスの相手じゃね?」
別の男がまたスクアーロの髪を掴んで無理矢理に顔を上げさせた。そうして、頬に大きな痣を咲かせた顔に拳を叩きつける。律動を繰り返していた男の手は、こびりついた精液で汚れた尻をパン!と大きな音を響かせて叩いた。
「い゛…っア、アアア゛!!」
「くぅ…!す、げ…っこんだけやってんのに、まだちゃんと締まる…!」
叩かれた瞬間、頭から爪先までをびくびくと痙攣してスクアーロは達した。汚れたラグにまた水溜りが増える。同時に、体内には男の精液が注ぎ込まれた。それがもう収まりきれずに、男が性器を引き抜くと同時にとぷとぷと溢れて滴る。白く濁った体液が落ちるのと共に、スクアーロの顔からは鼻血がぽたぽたと流れた。男達が髪を離し、腰を掴むのをやめる。そうすると彼の体は関節の無いぬいぐるみのように、ぐんにゃりと力無く曲がって床に落ちた。何の受け身も取らずうつ伏せに倒れ込むものだから、尖った骨が床に当たって固い音をたてた。顔の下に敷かれた髪には鼻血が染みた。
ザンザスはドアの横の壁に背を預けて、室内の音を聞き通路に映る影を眺めていた。部屋からは青臭い、生臭い雄の臭いが漂ってきていた。室内に足を踏み入れればそれは更にむっと鼻を突く。
「ボ…ボス!」
ザンザスに気付いた男の一人がびくりと背筋を伸ばす。他の二人も驚いて姿勢を正した。その後ろでは、床に打ち捨てられたスクアーロが胡乱な目で現れた主を見上げていた。
ザンザスは部下たちに視線をやった後、ツイとドアの方へと目を向ける。出て行けという合図だ。部下たちはまたぴんと背筋を伸ばし、シャツの裾をベルトの間に押し込んで急ぎ足で出て行った。
「失礼します!」
残されたスクアーロは、全身が精液と血でまみれ、肌には大小様々、色とりどりの痣の花が咲いていた。自分一人では風呂にも入ろうとしない彼は、既に体臭が精液のむっとする青臭い臭いになってしまったかのようだった。痣は顔や腹、太腿に多く、背中には煙草らしき火種を押し付けられたような痕がいくつもあった。左腕の肘近くには噛み傷もある。
全身を汚し、尻の間から伝う精液は先程の三人のものだけではない。もっと大勢のものである。彼らは咎められるようなことはしていない。これはザンザスが許可したことだった。
殆ど服を着ていることの無くなった体は、日に全く当たらなくなった所為で奇妙なくらいに白かった。白いというよりも青く、膝の裏から足首までの血管が辿れるくらいだ。
「ザンザス…」
精液と唾液が糸を引く唇から、主の名前が零れおちる。ザンザス、とは言うけれども、スクアーロが本当にザンザスをザンザスだと分かって呼んでいるのかは分からない。彼は男を全てザンザスと呼ぶのだ。
ザンザスは、かつて自分の右腕、一番良く斬れる剣だった男に歩み寄る。まだ代わりの剣は見つかっていない。見つける気もない。
歩み寄る彼にスクアーロは微笑んだ。ぎらぎらと、それこそ大海を泳ぎ回る鮫のような気勢をなくしたスクアーロの笑みは虚ろで美しい。薄汚れた銀の髪が青い頬を縁取り、薄い唇は涎でてらてらと光った。
「…ころ…、…て…」
己に近付く男を見上げながら、彼はうわごとのように呟く。それが他の男に対する反応と、唯一違う部分だ。
べとべとに汚された長い髪の、それでもあまり濡れてはいない場所を見つけてザンザスは手を伸ばす。
「殺して、くれぇ…ひ…っ!」
灰青色の目を細め、肉の削げた頬を引き上げて淡く笑っていたスクアーロの表情が凍る。他人の精液を避けて置かれたザンザスの手が、彼の頭をゆっくりと優しげに撫でる。大きな手が頭に触れ、殴りもせず、髪を引っ張りもせずに丸みに沿うように動かされるのにスクアーロの体はぶるぶると震えた。
「いや…いやぁ!」
薄くなった肩が傍目にも分かるほど、痙攣するようにがたがたと震えて、子供のようにかぶりを振る。精液で濡れた髪はスクアーロの頬に貼り付いた。水分を含んで重い髪が、ザンザスの腕を打つ。右手一本でずるずると床を後ずさるスクアーロから、それでもザンザスは手を離さない。スクアーロが体を引きずった後には、まるでヘンゼルとグレーテルが落としたパン屑のように緩んだ穴から溢れた精液が道を作った。頭を撫でていた手は耳元を通って、頬に辿り付く。痣の浮いた小さな顔を労わるようにそうっと撫でてやる。
「ひ、ぃ…や…イヤ…ァ…ア゛…」
乾いてこびり付いた精液を擦り落とすように、銃を使う固い親指の腹が頬を摩ると、髪と同じ淡い色合いの下生えの中にある性器から、精液ではない体液が吐き出される。膀胱にあまり尿が溜まっていなかったのか、勢いも無く量も多くはない透明に近い黄味がかった液体はそれでもスクアーロの尻や足を濡らして、後ずさる度に歩み寄っていたザンザスの靴も濡らした。
スクアーロの頬に付いていた精液が落ち、青黒い痣だけが白い顔に残るようになるとようやくザンザスは手を離す。手を離されると、彼は再び微笑んだ。足元では床を濡らした液体がぴちゃりと音をたてた。
「ザンザス…殺してくれぇ…」
肘から先の無い左腕が、背を向けたザンザスに向かって伸ばされる。皮の捲くれた唇はまた、夢見るように呟いた。
END
リンカさんが言ってた堕ちた剣帝BADエンドから。
ザンスクには幸せになって欲しいと思ってるし、スクは格好良くあって欲しいと思ってますが、バッドエンドにも滾ります。
ハッピーエンドも書くかもですが…予定は未定。
スクアーロの格好良い再登場を願ってます。
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