「ボスゥ!今日こそオレを抱けぇ!」
未発達、未成長、青い果実。そんな言葉が似つかわしい平たい胸…胸板…?これを乳房と言い表して良いのだろうかと迷う少女の体が、ザンザスの目の前に晒されていた。漸く膨らみ始めたかのような微かな丸みと、まだ固く閉じた蕾のような尖り。そんなものでも一応は女の胸なのだから、きちんとした下着をつけるようにと言っているのに。ザンザスは大きく溜め息を吐いた。
「何だぁその溜め息は!オレは十四だぜ!ぴっちぴちだろ!?ヤりたくなるだろぉ!?」
シャツのボタンを留めて、ついでに上着を着ればどっちなのだか分からない少女が、がなりたてるような声で言う。耳元でそっと囁きでもすればまだ可愛げがあるものの、執務室の外にまで聞こえそうな大声で「ヤりたくなるだろぉ!?」だなんて、もしここで声が途切れでもしたら、明日からザンザスは、十四の少女に手を出したロリコンになる。いくら数えきれない恨みを買い、女も子供も殺してきたとはいえ、そんな不名誉な犯罪者にはなりたくない。絶対に。
椅子の上で、彼は長い脚を優雅に組んだ。傍には放り出してしまったサイン待ちの書類と、さっきまで舐めていたブランデーがある。できることなら可及的速やかに引き下がって欲しいものだ。二日酔い気味の頭に、彼女の、外見が男だか女だか分からない、とはいっても、少女らしく甲高く響く声はなかなかに辛い。だが、彼女はそう簡単には引き下がらないだろう。これまでの経験が、超直感を使わずとも彼にそれを簡単に教えてくれる。
さあ触れ!と言わんばかりに掴まれた手を簡単に振り払って、ザンザスは、スクアーロの腰を抱いた。まだ女というよりも子供の、細いばかりの腰だ。これにもっと丸みがついて、体のラインがなめらかな曲線を描くまで彼女を抱くことは無いだろう。
掴んだ腰をいとも簡単に引き上げて、ザンザスは、組んだ脚の上にスクアーロを座らせた。ついに待ちに待った時が来た!と思いこんだスクアーロの目が輝く。
「ボス!ついに…ん゛…っ」
腰を後ろから支えたまま、小さな顎を捕らえて、ザンザスは、煩く喚き立てる口を封じた。煩い口は直接塞いでしまうのが、一番良い。
「ん゛…っん、ふぅ、っ…ぁ…は……ん゛…ッ」
唾液の混ざる音をたてて、ザンザスは滑り込ませた舌で彼女の口内を翻弄した。それは殆ど、蹂躙といって良い所業だった。可哀そうに、傲慢な鮫の名を持つ少女は何もできず、されるがままに口内を荒らされ、舌を絡められ、頬を紅潮させて唇から飲み込みきれない唾液を零した。鼻からは妙に高い声が漏れて、うまく息が吸えずに苦しくなってザンザスの胸を叩く。
「はっ。抱かれたいなんざ、キスが上手くなってから言え」
まなじりに涙を浮かべた少女に向かって、赤い目の男はそう言い放つ。少女はシャツの前を掻き合わせ、猫のように素早く男の脚の上から降りて部屋を去って行った。
この日からスクアーロのキスの特訓が始まり、遠くない未来、上手くキスできるようになった!と誇らしげに宣言するスクアーロに迫られる羽目になることを、まだザンザスは知らない。