2006年08月25日(金)手抜き

群馬県警の裏金づくりについて内部で抗議していた元警部補大河原宗平さん(51)は在職中の2003年秋、テレビ局にひそかに実情を連絡し、その前後から
車の移動を監視されたという。「警察官の素行調査でNシステムを使うのは常識。監視は怖い。本当に怖かった」。大河原氏は恐怖に耐えかねて
ナンバーを読み取れないように細工。結局、その行為が法律違反だとして逮捕された。また、元群馬県警警部補の大河原宗平氏は、現場の警察官が
交通違反の取り締まりや警察官採用試験の応募者獲得に、ノルマを課せられている点に疑問を投げかけた。

人権と報道・連絡会の第204回定例会が5月16日夜、同志社大学東京オフィス(大手町)で開かれ、約50人が参加した。テーマは「警察裏金と内部告発」。
群馬県警の裏金問題を内部告発し、その報復を受けてでっち上げ逮捕された元警部補・大河原宗平さんから、裏金の実態、それを告発した経緯、報復の懲戒処分や
でっち上げ逮捕、それに対して今年3月に起こした国家賠償訴訟の概要などについて報告を受けた。でっち上げ逮捕の際には、新聞など主要なメディアが
警察発表を鵜呑みにした報道で大河原さんの名誉を毀損する一方、肝心の裏金問題を報道せず、「権力の広報機関」化を露呈した。
大河原さんは、裏金問題以外に交通取り締まりの実態や犯罪統計のからくりなども指摘、「明るい警察の実現」に向けた改革の必要性を熱っぽく訴えた。

大河原氏は1996年、県警本部交通指導課で暴走族摘発に向けての捜査中、会計担当の女性職員から依頼を受け、計20枚、24万5千円分の
ニセの会計書類を作成した。その際、担当者に抗議したため、翌年3月の人事で交番転勤を命じられた。同課勤務以前にも、本部警備二課時代の旅費水増し請求や
前橋署時代の犯罪検挙率算出に使われる書類の偽造などの不正にもかかわっていた。大河原氏はこうした裏金づくりなどの不正について、幹部にやめるよう
たびたび直訴。昨年8月、同県警伊勢崎署交通課でレッカー業者が配ったビール券を「受け取れない」と返却した直後から、県警監察官室が監視を始めたという。
匿名でテレビ番組に出演し、裏金づくりなどについて述べたことが警察内部に察知されると、さらにマークがきつくなったと感じた。身の危険を感じた大河原氏は
自動車のナンバーを自動的に読み取る「Nシステム」による監視を避けるため、自分の車のナンバープレートを一部加工。これが道路運送車両法違反と
公務執行妨害にあたるとして現行犯逮捕され、今年三月、懲戒免職となった。しかし、容疑の一部が不起訴となり、身分回復を求め県の人事委員会に

処分の不服申し立てを行っている。

11日午後5時過ぎ、群馬県上野村の御巣鷹山登山口にある日本航空ジャンボ機墜落事故の慰霊碑を参拝していると、一人の体格の良い男性に出会った。
その男性は地元でとれた手に余るほどの野菜を献げ、深々と何度も頭を垂れた。その男性は今から20年前の1985年8月12日、軽井沢で当時の中曽根康弘首相の
警護を終え、前橋市内にある群馬県警本部警備第二課に同僚3人と戻った。部屋の扉には鍵がかけられ、中には誰もいなかった。部屋に入ると、電話が鳴った。
午後6時過ぎのことだった。同僚からは「定時を過ぎているので、電話などとらなくていい」と忠告を受けた。だが、その男性、群馬県警警察本部要人警護係長
だった大河原宗平さんは、「何かあったら大変だから」と、電話をとった。するとあるマスメディアの記者からだった。
「日航機が行方不明になっているのですが、何か手がかりありませんか」これが群馬県警に入った事故の第一報だった。大河原さんはとっさに
「飛行機ならば海か、山に墜落したのだろう」と考えた。同僚に相談すると、意外な言葉が返ってきた。「帰れなくなるから、帰る」この言葉を残して、同僚3人は
家路についた。大河原さんは即座に、群馬県内にある警察署20カ所のうち、山間部にある4−5カ所に連絡を取ると同時に、機動隊を招集した。
一方で、松本にある自衛隊に事故現場の位置の確認を問い合わせた。正確には分からなかったのだが、土地勘のある大河原さんにはおおよその位置が飲み込めた。
地図を広げて位置を確認し、上司に報告すると、「事故は群馬県内で無くてよろしい」といった雰囲気が伝わってきた。一連の連絡事項を終えた後、大河原さんは
遺体の集計任務に就いた。食べるのも、眠るのも忘れて必死になってその任務を遂行した。だが、その時から大河原さんの脳裏にこびり付いて離れない
悔恨の念がある。毎年、この時期になると、欠かさずに参拝に来ているのだが、この悔恨の念だけは消えない。「今まで、このことを人には話せませんでした。
遺族の方々には申し訳ない。私ども警察官があのとき、もっと努力していたら、もっとたくさんの人々が生き残れていたのかもしれない。
非常に後味の悪い、任務でした」大河原さんは今年の8月12日もまた、登山道を上って日航ジャンボ機が墜落した御巣鷹山の尾根に懺悔(ざんげ)しにいく。

正義は罰せられるのか。かつて群馬県警の警部補まで務めた大河原宗平氏(50)が、昨日までの二日間に渡って開催された全国市民オンブズマン連絡会議で
自らが経験してきたことを明かした。大河原氏は、群馬県警で行われてきた不正を暴こうとした。しかし、それを許さない県警からの妨害を受け
最終的には免職することになったという。大河原氏が明らかにした話の内容はこうだ。県警本部交通指導課で暴走族摘発に向けての捜査中、会計担当職員から
24万5000円分(計20枚)のニセ会計書類作成の依頼を受け作成した。不審に思った同氏は担当者に抗議した。

その結果、翌年3月の人事で交番転勤を命じられた。不正は、これ以外にも本部警備二課時代の旅費水増し請求や、前橋署時代に書類の偽造などがあった。
同氏はこうした裏金づくりなどの不正について、再三に渡り幹部にやめるよう直訴した。そして、県警監察官室が監視を始まった。
匿名でテレビ番組に出演し、裏金づくりなどについて述べたことによって、さらにマークがきつくなった。身の危険を感じさせるまでの
執ような監視が続き、自らを守るため、自分の車のナンバープレートを一部加工したことが、道路運送車両法違反と公務執行妨害にあたるとして現行犯逮捕された。

そして今年3月、懲戒免職となった。何故正しい者が罰せられるのか。「汚いことはやめ、きれいな警察に生まれ変わってほしい」
と訴える大河原氏を全国市民オンブズマン連絡会議は支援していく方針だ。

警察の裏金問題を考える集会が、9日夜、松山市内で開かれ、群馬県警の裏金問題を告発した元警部補が「不正の手口は全国共通だ」と、警察組織の実態を語った。
報告集会には、愛媛県警の不正を実名告発した仙波敏郎巡査部長や一般の市民らおよそ100人が参加。はじめに、群馬県警の裏金を告発した元警部補の
大河原宗平さんが、交通警察の実態を講演した。この中で大河原さんは、交通違反1件の検挙につき、100円の図書券が配られていた実態などを説明。
さらに、全国共通の手口として、旅費や備品の購入代金など、あらゆる経費が裏金の原資になっていたことなどを訴えた。

2006年08月25日(金)18時14分00秒