[ ルネサスらのSH-Mobile G3,何と各IPコアに専用MMUを追加 ] ルネサス テクノロジは,NTTドコモや携帯電話機メーカーらと共同開発した携帯電話機向けの
アプリケーション・プロセサ「SH-Mobile G3」について,2008年2月3日から米国サンフランシスコで開催中の半導体回路技術の国際会議「ISSCC 2008」において
詳細を発表した。現在,量産出荷中の「SH-Mobile G2」は90nm世代の製造技術だが,今回のLSIは65nm世代のCMOS技術で製造する。トランジスタ数は3億700万個,
論理回路部の規模は2820万ゲート,チップ寸法は9.3mm×9.3mmである。電源ドメインは21領域にも及ぶ。SH-Mobile G3で特徴的なのが,メディア処理など
オンチップ・バス上に接続しているIPコアそれぞれに,CPUコアと同じようなMMUを付加している点である。同社はこれをCPUコア上のMMUと区別して「IP-MMU」と呼ぶ。
通常,SoC上のIPコアには物理アドレス上で静的にメモリ領域を割り当てるのが一般的だが,今回,このIP-MMUを用いることで,IPコアが直接,OS上の仮想アドレスを
参照できるようにした。これにより,IPコアについても動的にメモリ領域を割り当てたり,解放したりすることが可能になり,メモリの利用効率が向上する。結果として
外付けのシンクロナスDRAMの容量を節約することが可能になる。いわば携帯電話機のソフトウエアの多機能化に起因するメモリ容量の増加・コスト増加に対し,
ハードウエア側の工夫で対処したわけだ。具体的には,2次元グラフィックス回路,3次元グラフィックス回路にそれぞれ専用のIP-MMUを配置した。それ以外の
メディア処理系のIPコア16個は,1個のIP-MMUを共用する形とした。16個のIPコアは「ICB(inter connect buffer)」と呼ぶ回路を介して,IP-MMU内部のTLBを
共用する。ルネサス テクノロジによると,このIP-MMUの利用により,外付けのメモリ容量を20〜80Mバイト,節約することができるという。なお,3億700万個もの
トランジスタを備えるSH-Mobile G3のチップ全体から見ると,IP-MMUの付加による回路規模の増加は非常に小さいという。(Tech-On! 2008/02/07 18:38)
[ ルネサスが携帯電話機用最新プロセッサ「SH-Mobile G3」を披露 ] ルネサス テクノロジは以前から、「SH-Mobile Gシリーズ」と名付けた携帯電話機用大規模
マイクロプロセッサを開発してきた。「SH-Mobile Gシリーズ」はベースバンド処理用CPUコアとアプリケーション処理用CPUコアを内蔵したヘテロジニアスなマルチコア
プロセッサであり、ワンチップで携帯電話機の主要な機能を実現する。「SH-Mobile Gシリーズ」の最初の製品である「SH-Mobile G1」は、ルネサスとNTTドコモが共同で
開発した。ルネサスは2005年7月末に評価用サンプルの出荷を始め、2006 年5月には量産を開始した。「SH-Mobile G1」のベースバンド処理回路はWCDMAとGSM
/GPRSの両方に対応している。このため「SH-Mobile G1」は、デュアルモードの携帯電話機に搭載された。Gシリーズの第2世代である「SH-Mobile G2」の共同開発
プロジェクトには、携帯電話機ベンダーの富士通と三菱電機、シャープが加わった。「SH-Mobile G2」はWCDMAおよびHSDPAとGSM/GPRS/EDGEに対応しており、第3
世代(3G)携帯電話機に向けて開発された。2006年9月にサンプル出荷が開始され、2007年秋に量産が始められている。Gシリーズの第3世代に相当する「SH-Mobile G3」
の開発には、「SH-Mobile G2」の共同開発メンバー企業に、携帯電話機ベンダーのソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズが加わり、ルネサスとNTTドコモ、
富士通、三菱電機、シャープ、ソニー・エリクソンの6社による共同開発プロジェクトとなった。2007年10月にはルネサスが評価用サンプルの出荷を始めた。現在は
2008年後半の量産開始に向け、評価作業が進められているところである。その「SH-Mobile G3」の技術内容が、ISSCC 2008で一部明らかにされた(講演番号13.3)。
本レポートではISSCC 2008の講演内容とともに、「SH-Mobile G3」チップ(以下は「G3」と表記)および「SH-Mobile G2」チップ(以下は「G2」と表記)の概要をご紹介しよう。
「G3」と「G2」はともに、WCDMAおよびHSDPAとGSM/GPRS/EDGEに対応する。違うのはHSDPAのデータ通信速度である。「G2」では下り方向(基地局から携帯電話機
への方向)のデータ通信速度が最大384kbpsだったのに対し、「G3」は下り方向の通信速度が最大7.2Mbpsの通信方式(HSDPA cat.8)をサポートする。「G3」と「G2」が
内蔵するCPUコアは3個あり、マルチメディア処理用がSuperHアーキテクチャのSHX2コア、アプリケーション処理用がARMアーキテクチャのARM11コア、ベースバンド
処理用がARM9コアである。なおSHX2コアはSH-4Aを実装したCPUコアの1つで、8段のパイプラインを備えており、最大800MHzの周波数で動く。SH-4Aは2命令
同時発行のスーパースカラー構造を採用している。「G3」では、内蔵するARM11コアの品種を変更するとともに、CPUコアの動作周波数を高めた。まずARM11コアだが、
G2では「ARM1136」を内蔵していたのに対し、G3では上位品種の「ARM1176」を内蔵した。そしてSHXコアとARM11コアの動作周波数をG2の390MHzから、G3では
500MHzに引き上げた。「SH-Mobile G2」と「SH-Mobile G3」の概要。いずれも電源ドメインの数は20を超える。いかに電力消費をきめ細かく管理しているかが分かる。
なお入出力ピン数はどちらも同じで617ピンである。「G3」での大きな改良点は、メモリアドレス管理にある。マルチメディア処理用のSHX2コアとアプリケーション処理用の
ARM11コア、マルチメディア関連の十数個の周辺回路コア(3次元グラフィックス回路、2次元グラフィックス回路、画像キャプチャ回路、動画再生回路、ディスプレイ表示
回路、ブレンディング回路など)が、仮想アドレス空間で単一のページテーブルを共有する構成とした。CPUコアだけでなく周辺回路コアもメモリ管理ユニット (MMU)を
装備し、仮想アドレスと物理アドレスの変換をMMUで実行する。MMUでは物理アドレス同士の変換も行なう。仮想アドレスを採用したのは、外付けメモリ(通常はSDRAM)を
より有効に活用するためである。携帯電話機が扱う静止画像や動画像などの解像度がどんどん高まっていることから、メモリの使用量は増加する一方になっている。
「G3」では1,200万画素のカメラモジュールと30fps/640×480ドット(VGA)の動画再生をサポートしているため、メモリの使用量は非常に大きくなる。ISSCCの講演では、
カメラで撮影している画像をディスプレイに表示した事例で仮想アドレスの効果を説明していた。従来はこのような使い方だと、53MBのメモリ領域を占有していた。それが
仮想アドレスの導入により、わずか10MBで済むようになる。講演資料によると、おおよそ20MB〜80MBを稼ぎ出せるという。なおアドレス変換にともなうオーバーヘッドが
動画再生などの処理に与える影響はわずかであり、問題にはならないとしている。また携帯電話機をオーディオプレーヤーとして使用したときに消費電力を低減
するため、クロックを分割した。オーディオ再生時は、サウンドプロセッシングユニットと呼ぶDSPコアが主に動く。このDSPへのクロックを個別に設け、オーディオ
再生時はCPUコアやオンチップバスなどへのクロック供給を制限した。その結果、クロックまわりの消費電流を大きく下げることができた。(PC Watch 2008年2月6日)
[ au、「W62SA」と「W61SH」の新色を21日より順次発売 ] KDDIと沖縄セルラーは、三洋電機製の防水対応端末「W62SA」と、シャープ製の「AQUOSケータイ W61SH」の
新カラー2色を21日より順次発売する。発売日は機種・地域によって異なる。「W62SA」は、2月21日に沖縄で、2月22日に四国で、2月23日に北海道・東北・北陸・中部・
関西・中国で、2月28日に九州で、3月1日に関東で発売となる。一方、「W61SH」の新色は、21日に沖縄で、22日に北海道・四国・九州で、23日に東北・北陸・関東・
中部・関西・中国で発売される。三洋電機製「W62SA」は、IPX5/IPX7相当の防水性能を備えたワンセグ対応の回転2軸型CDMA 1X WIN端末。メインディスプレイは、
2.8インチ240×400ドットのIPS液晶、サブディスプレイは約0.6インチ、96×16ドット。有効画素数197万画素CMOSカメラやmicroSDカードスロット(最大2GB)、FM
トランスミッター機能などを搭載する。特徴的な機能として、音と光でリラックスできる雰囲気を演出する「ヒーリングイルミネーション」が用意されている。au関連の
サービスでは、au Smart Sports(Run&Walkアプリ)、LISMO(ビデオクリップ)、着うたフル、EZナビウォーク、オープンアプリプレーヤーなどに対応する。LISMO Videoや
オーディオ機器連携、au one ガジェット、マルチプレイウィンドウ、おサイフケータイは非対応となる。大きさは約51×106×19.5(最厚部22mm)、重さは約158g。連続
通話時間は約300分、連続待受時間は約350時間。ボディカラーはアクアティックブルー、シェリーホワイト、ラタンブラウンの3色。(ケータイWatch 2008/02/21 14:42)