2008年05月22日(木)パイオニアSE-CLX9比較まとめ

音質 かなりフラットだが、細かいことを言うならややかまぼこから高音よりか。低域は質的にも量的にもあまり豊かではなく、必要量といった感じ。締まっている
ようにも感じるし、薄く曇っているようにも感じる、微妙な質。ただ、少なくとも厚みや量感には乏しい。中域は低域に邪魔されずにはっきり聴こえてくるし、
基本的には変な癖はないのだが、ソースによっては中域から中高域がやや張り出すように感じることがある。高域は細く粗のない表現で、量的には程々。分解能及び
原音忠実性はなかなか良い。音の分離といい微細な描写といい文句のないレベル。あまり原音の粗や生っぽさを感じさせる風合いではないが、最低限は感じられるし、
全体的な癖の無さという意味ではかなりのもの。音場感は広さ・明確さともになかなか良い。エッジはきつくなくそれほど聴き疲れしないレベル。明瞭さ、音の
鮮やかさはなかなか良いが、一部の機種に見られるような不自然で強烈な明るさはなく、むしろそれらの機種と比べると薄く曇っているように感じられる。厚みは
普通からやや薄め。温かみは、低域の量が少なくさっぱりした鳴らし方なのであまり感じられないが、冷たい音ではない。ヴォーカルの艶っぽさはそれなり。
もう少し柔らかければなお良かっただろう。かなりニュートラルな鳴らし方だが、どちらかと言えば繊細。響きはややあっさり。弦楽器は繊細かつ心地よいが、
もう少し低域の量や生楽器らしさがあればなお良かっただろう。金管楽器はなかなか鮮やかで綺麗に鳴らしてくれる。打ち込み系の音の表現は微妙。低域の量や
音の厚みが不満ではあるが、切れやスピード感は悪くはなく、トータルとしてはそれなりに鳴らしてくれる。価格の割にはこれといった魅力がなくいまいちな出来に
感じるが、バランスの良い機種ではある。なお、上記の内容はデフォルトのノズルを使用したもの。他の4種類のノズルを使用すると、それぞれ多少の違いはあるが、
劇的な変化はない。変化の小さい High tune 1とBass tune 1は人によってはまったく変化を感じられないレベルだろうし、変化の大きいHigh tune 2とBass tune 2に
しても広い目で見ればフラットの範囲を出るような変化はない。周波数特性以外の音の変化はほとんどない。もう少し音の変化が大きい方が良かっただろう。

装着感 良好。カナル型だが、イヤーピースを耳の奥に押し込むタイプではないので装着しやすいし、耳の穴が痛くなりにくい。通常のカナル型と違ってイヤー
ホルダーがあるおかげで装着感が安定するが、長時間使用すると耳とイヤーホルダーの接する部分が痛くなることはある。重い、コードが顔に当たりやすい等の
不満はない。イヤーピースの材質はシリコンのようだ。4サイズ付属している。また、イヤーホルダーも4サイズ付属している。

その他 遮音性及び音漏れ防止は良好。特に遮音性は国内メーカーのカナル型にしてはかなり良い。作り、デザインともに良いと言えるレベルだろう。付属品が
充実している。プラグは金メッキのミニプラグ。コードの太さは合流前は約1.5mm、合流後は幅約3mm・厚さ約1.5mm、硬さは普通で特に扱いづらさは感じない。

比較メモ ER-4S どちらもかなりフラット。低域はER-4Sの方がやや低い音で量も多い。中域はSE-CLX9の方がやや癖がある感じで、中域から中高域にかけて
張り出すように感じることがある。高域はSE-CLX9の方がやや量が多く金属的。ER-4Sの方が細く繊細。分解能はER-4Sの方が上。音の分離にしろ一つ一つの音の
微細な描写にしろ勝っている。音場感はER-4Sの方がやや奥行きがあり明確。原音忠実性はER-4Sの方が上。原音の粗や生っぽさが感じられる度合いに差がある。
エッジのきつさにはさほど差はないが、SE-CLX9の方が圧力がある感じで聴き疲れしやすいように感じる。明瞭さはER-4Sの方がやや上、音の鮮やかさはSE-CLX9の
方がやや上。厚みはほぼ同レベル。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはER-4Sの方が上。SE-CLX9の方がノリが良く、ER-4Sの方が繊細。響きは質が違う感じで比較が
難しいが、あまり大きな差はない。弦楽器はER-4Sの方が繊細かつ心地よい。金管楽器はSE -CLX9の方が明るく楽しめる。打ち込み系の音の表現は微妙。
鳴らし方はSE-CLX9の方が元気が良く好印象なのだが、ER-4Sの方が低音の量や基本性能で勝っている感じ。使い分けるなら、繊細さ重視ならER-4S、ノリの
良さ重視ならSE-CLX9。あるいは、生楽器を聴くならER-4S、そうでないならSE-CLX9。

5種類のノズル(フィルタ)と4種類のイヤーホルダーが付属しており、まるで理科の実験キットのよう。結局イヤピースが一番音質に効くようには思いますけれどね。
俺主観5段階評価 装着感★★★★ 音漏れの少なさ★★★★ 音の好み度★★★ iPodでの音量★★★★ 特記事項:(特になし)購入は2008年1月。
音の好み度は★3.3個くらいでなかなか好印象。【装着感】良好。イヤピース4種類(S・M・L・LL)、イヤホルダ4種類(S・M・L・LL)が付属しており耳の形状や
装着感の好みに対する守備範囲は広い(【図1】参照)。ケーブルは比較的細身で取り回しは良いが、タッチノイズは比較的大きいように思う。
【音モレ/遮音性】音モレの少なさは良好。ペラペラと薄いイヤピースの見た目に反しており、結構意外。(そういえばtiple.fi 10 Proのも薄いのに音モレは
比較的少ないですね。薄いけれどよくフィットするので相殺、ということか?)電車では相当に音量を上げすぎたりしなければ、問題なく使えるレベルと思われます。
遮音性は普通程度で外の音はそれなりには聴こえます。【音】※以下はノズルをStandard、イヤホルダをM、イヤピースをLとして聴いたメモになります。
若干カマボコ、かつ弱いドンシャリ傾向、といったところか。全体的には比較的クセは少なく聴き易い機種と思うが、7kHz以上の高域の量が比較的少ないため
高域の鮮度が若干不足。ただし5〜6kHz近辺の僅かなキツさがあるためか、マイルド一辺倒というほどでもなく、それなりにバランスは取れていると思う。
ローエンドの伸びは今ひとつで、100Hzから下はダラ下がり傾向で重低音は若干薄め。低音全体の量としては必要充分には出ているとは思うが、低域のピークが
150Hz前後と比較的高めの周波数でベースやキックは若干引っ込み気味で迫力はあんまり無い。質は普通程度で、特に歪みが多かったり制動感が取り立てて
悪いようには思わない。ボーカルはどちらかと言えば低域よりで、サ行のキツさは比較的少なく聴き易いといえば聴き易いが実体感は少し控えめ。バイオリンは
比較的自然な音で聴きやすいが、高域の伸びがもう少し欲しい印象。トランペットは若干マイルドでヌケがもう一歩欲しい。アコースティックギターも少しだけ
太めの音調で透明感や空気感が今一歩。ハイハットは大人しく刺激少なめ。スネアの解像感は特に良くも悪くも無く普通程度。ハイエンドの伸びは今ひとつ。
特に7kHz以上の薄さは悔やまれる。音場感、立体感は普通で特に広くも狭くもなし。オーケストラは上がちょっと伸びないなあ・・とは思うが、迫力はそれなりに
あるし特に不自然な印象は無い。【総論】3kHzまでは相当に良いセンを行っているのに、そこから上のクセが惜しい。少しLo-Fi風だけれど、ケレンミのない
普通・・というか真面目な音が好印象。地味ゆえに効き疲れも少なめでジャンルを問わない汎用性あり。オモチャの実験キットのようなパッケージですけれど
決してイロモノでは無いと思います。比較的自然な音調と思うけれど、ローエンドとハイエンドの両端の伸びが今ひとつ。高域は5〜6kHzの若干のピーク感と、
8kHz以上の量が薄いのがクセといえばクセか。音漏れについては全帯域で-60dBを大きく下回っており優秀な部類と思う。

現在僕が一番気に入っているカナル型イヤフォンは シュアー SE530。満足度の高さは今まで使用して来たイヤフォンの中で最高と言っても良いかもしれない。
ソースのイメージを忠実に再現するプロ機のようなテイストの中に、“音楽性” をも見出す事が出来るところが好きだ。聴いていて楽しい。しかしそんな中、
ずっと気になってイヤフォンがあった。パイオニア SE-CLX9。この製品の目玉は何と言っても各パーツを組み替えて好みの音質に変化させられるという高い
カスタマイズ性にあるが、それよりも僕は基本性能の高さに注目した。どうやら搭載しているバランスド・アーマチュア方式のユニットの完成度が高いらしい
との事で、俄然興味が湧いたのだ。そして先日ようやく入手。SE-CLX9は予想に違わずソースに忠実で、素晴らしい音質であった。日本のメーカーによる
バランスド・アーマチュア方式のイヤフォンは、オーディオテクニカのATH-CK9やATH-CK10などがあるが、それらの “高解像感狙い” のハイ上がりの
チューンは僕には受け容れ難かった。SE-CLX9にはそのような余計な味付けが無く、非常に好感が持てる。個人的にこれは SHURE SE530にも十分対抗出
来る音質を有していると思う。ただし、いつも行く少々騒がしいカフェでの使用で感じた事だが、もう少し遮音性能が高ければ尚良いだろうか。

Pioneer SE-CLX9を購入して2週間弱たちました。その間、6日間ほど使ってみたのですが、使用感など書き留めておきたいと思います。そもそもカナルタイプの
イアフォンを使うのは初めてなので比較対象はB&O A8となります。まず最初に触れておくべきは、装着したときの遮音性です。A8(オープンタイプ)に比較すると
圧倒的に周りの雑音が聞こえにくくなります。一方で独特の閉塞感があり最初は結構違和感があったのですが、今ではかなり慣れました。その遮音性故、細かな
音を非常に良く聞き取ることができます。A8では聞こえなかった音をSE-CLX9で聞き取ることができた際には結構ビックリしました。次に音質についてですが、
中高音域は個人的には満足のいくレベルだと思います。特に高音の伸び方はA8よりも気持ちいい感じで、バランスド・アーマチュアータイプの面目躍如と言った
ところでしょうか。音場感も悪くありません。一方低域の伸びや量感に関しては今ひとつ物足りない感じ。こちらはA8の方が良いかなぁ。さらに付け加えると、
SE-CLX9は耳穴への微妙な装着角度によって低域の量感がセンシティブに変わります。そのあたりは注意が必要ですね。ちなみにイアチップとイアフォルダを
一番小さいタイプにして耳穴に押し込むと低域の量感が増えるというレポートがあったので試してみたのですが、私の耳穴形状ではほとんど変化がありませんでした。
むしろ装着安定性が下がったので、現在はどちらも標準タイプに戻しています。そんな訳でA8と比較すると音質的には一長一短があるのですが、それでもSE-CLX9を
買ってよかったなぁと思っています。その理由は圧倒的な装着感の良さ。長時間使用しても全く耳が痛くならないのは素晴らしい! 私としてはそれだけで買った
意味がありました。(というか、それが理由で買い替えたわけですが...)何で左右のコードの長さが違うのかとか、コードが少し短いぞとか、価格にしてはコードや
キャリングケースがチープであるとか、突っ込み所はいろいろあるのですが、そんなことはどうでもよいくらいの装着感の良さなので、私としては非常に満足しています。

2008年05月22日(木)14時11分00秒