2008年05月22日(木)テラ絶縁。

[ 近藤利一オーナーが河野通文厩舎と絶縁した模様〜三浦騎手落馬について ] 競馬評論家清水成駿氏のメールマガジン(清水成駿の競馬春秋・5/22号)によると、
名前は伏せているものの、アドマイヤ冠の近藤利一オーナーが河野通文厩舎(美浦)から所有馬を全て引き上げた模様。理由は厩舎所属の新人三浦皇成騎手が
3月2日に騎乗したアドマイヤベッカムで落馬(同馬は予後不良)した件についてと考えられる。現段階では正式発表はないが、現在河野厩舎にはアドマイヤタイトル
(牡6・放牧中)、アドマイヤワールド(牡4・放牧中)、アドマイヤキック(牡3・未出走・放牧中)の他に先日登録を済ませたばかりのアドマイヤレーン(牡2)などがいる。
同メールマガジンでは三浦騎手と思われる「アンちゃん」(新人騎手の呼称)が「もう、あの人の馬には跨りません」と言ったとあり、「これで東西2人目の
騎乗拒否宣言となった」などとと書いている。SUPER SELECTION メールマガジン「清水成駿の競馬春秋(08/05/22)」【あるアンちゃんの秘かな決意】
「人はええ。馬はどないなったんじゃい」携帯に届いた落馬報告に、そうまくし立てた馬主。人とはジョッキー。それも昨日初めて手綱をとったばかりのアンちゃん騎手。
問題はそれで終らなかった。今度は所属厩舎と馬主が、生産ファームの担当者をはさんでこじれた。結局は同じ冠がつけられた所有馬のすべてが転厩。最悪の形で
幕がおろされた。唇を噛み、うつむくアンちゃん。が、まさに「親」であり、管理馬という財産をなげうち、体を張って自分を擁護してくれた調教師への恩は金輪際
忘れまい。「もう、あの人の馬には跨りません」顔をあげ、キッとまなじり決したアンちゃん。思わず調教師に熱いものがこみ上げる。これで東西2人目の
騎乗拒否宣言となった。今は馬主の時代。それも急速な格差社会の波及で、ほんの一握りの大手馬主がヘゲモニーを握る。彼らの多くは経済社会の勝利者であり、
もっとも嫌うのは負けること。ある調教師はその馬主にリーディング・トレーナーの成績表を目の前に突きつけられ、「よくもこんな成績でワシの馬を預かれるもんだ」
と罵倒された。まさに自社の社員の尻を叩くのと同じ。仮初めにも「師」である。当然のことながら、その厩舎にその冠名を持つ馬はすべて消えた。調教師にとって
冬の時代はまだまだ続く。ただし、今6時をさしている時計の針は必ず12時へと戻る。ここはぐっと我慢、やれることだけを精一杯やって時節を待つより道はない。
そして、もう一つ、預かりたくない馬は預からないこと。乗りたくない馬には乗らないこと。優勝劣敗の社会とはいえ、調教師同士の強い横の連携、調教師と騎手の
縦の連携、これがない限り厩舎に春は訪れない。今まで親身になってジョッキーを育てなかった厩舎のツケもある。目先の利益を捨てて、厩舎全体の利、底上げを
考えるようなリーダーが現れてこそ、初めて一握りの大馬主と互角に渡り合える力を持つことになる。(ヘゲモニー - Hegemonie(独) 主導権。指導的立場。覇権。)

2008年05月22日(木)16時59分37秒