2008年10月31日(金)xbc

[ ヴァーミリアン軸に展開 園田でダート競馬の頂点 ] 来月3日、兵庫県尼崎市の園田競馬場でダート競馬の頂点を争う第8回JBC(ジャパンブリーディング
ファームズカップ)が行われる。「スプリント」と「クラシック」の2つのG1級レースに、中央競馬と地方競馬の強豪が集まる。関西開催は初めてで、同競馬場史上、
最大級のビッグイベントに向け、受け入れ態勢づくりも進んでいる。1着賞金が1億円と地方競馬では最高額の「クラシック」(1870メートル)は、
ダートG1級レースを5勝し、昨年のJBC覇者であるヴァーミリアン(中央競馬、牡6歳)が今年も中心になる。ヴァーミリアンは、国内のダート戦で6連勝中。
3月末のアラブ首長国連邦ドバイへの遠征では12着と大敗したが、国内では敵なし。園田競馬場は初めてだが、他の地方競馬の小回りコースで圧勝している。
管理する石坂正調教師は「遠征の影響はなく調整は順調。ヴァーミリアンらしいレースはできる」と話す。注目度の高さではサクセスブロッケン(同、牡3歳)も
ひけはとらない。昨年秋のデビュー以来、ダート戦では無敗。7月のジャパンダートダービーも2着に3馬身半差を付けた。経験豊富な年上の古馬との初対戦は
厳しいが、未知の能力への期待も大きい。地方競馬所属ではフリオーソ(船橋、牡4歳)が2走前にG1級の帝王賞で優勝している。ただヴァーミリアンとは
昨年3回対戦して、3度とも完敗した。地元の兵庫勢ではチャンストウライ(牡5歳)に期待がかかる。今回、故障休養明けのフィールドルージュ(中央、牡6歳)は、
地方競馬時代に園田を本拠地にしていた岩田康誠が騎乗する点が見逃せない。一方、「スプリント」(1400メートル、1着賞金8000万円)は、今年8歳の
古豪ブルーコンコルド(中央、牡)が人気になりそう。2月のフェブラリーステークスでヴァーミリアンに次いで2着。10月には南部杯を3連覇と、年齢的な
衰えを見せていない。1400メートルを走るのは久々だが、6勝している得意の距離。対抗馬は、ダート短距離を3連勝中のバンブーエール(中央、牡5歳)。
昨年、地方競馬所属馬として史上初めてJBCで勝ち星を挙げたフジノウェーブ(大井、牡6歳)は、今年も侮れない。 ●馬場改修、窓口も増設 
ダートのトラックは1周1051メートルと、中央競馬の規模から比べればかなり小さい園田競馬場。最近では正月(1月3日)に1万3256人入場したのが最高だが、
今回はその2倍弱にあたる2万5000人の入場を見込む。一大イベントに地方競馬の浮沈をかけ、馬場改修工事はじめ客の受け入れ態勢強化やサービス向上にも
余念がない。JBC開催を半月後に控えた10月半ば。園田競馬場には、コースを補修する工事の音が響いていた。準備が進むのは、馬場ばかりではない。まず
力を入れているのが馬券販売。1度に多数の客が買える態勢づくりを目指し、自動販売機50台を購入。普段は198の販売窓口数を当日は304まで拡大する。
最寄りの阪急神戸線園田駅と競馬場間のシャトルバスも通常10台のところを30台に増強。より多くの客がスムーズに入場できるよう入場門も改装し、新たに
テイクアウト式の食堂も設けるなど利便性を高めた。場外での馬券販売にも新機軸を導入。兵庫県三木市にある競輪の場外販売場「サテライト阪神」に売り場を設け、
公営競馬としては初めて他競技の販売施設で馬券を売る。JBCは所帯の小さい競馬場にとっては荷の重い事業。しかし兵庫県競馬組合の松谷全隆総務部次長兼
管理者室長は「それでも思い切ったことをしないと売り上げを増やせない」と説明する。苦戦が続く地方競馬にあって兵庫県競馬は2006、07年と黒字を
確保したが、売り上げは低水準のまま。JBC自体の売り上げももちろん重要だが、これをきっかけに園田の知名度を引き上げ足を運んでもらえるようになれば、
今回の挑戦は成功だったといえるのだろう。(日経ネット関西版 大阪運動担当 森青樹 2008/10/31)

2008年10月31日(金)21時40分16秒