2008年11月19日(水)Save My Queen

今日のスーパーニュースアンカーでの青山のコーナーでようやっとテレビで取り上げられた国籍法「改悪」の内容について。青山グッジョブ。ネットと比べれば
遅いし情報も足りてないが「あんまり顔出しでアレコレ喋ったら普通に即日で殺される」様な内容だからな。テレビじゃあの内容が限界だろ。仕方がない。

[ 国籍法改正案についての議連と法務省のやりとり ] さて、前エントリに続き、本日の「国籍法改正案を検証する会合に賛同する議員の会」のもようを
報告します。きょうは法務省かに担当官僚を招いての質疑・意見交換があったので、なかなか興味深いやりとりがありました。その中から、いくつかピックアップして
ここに掲載します(録音はしておらず、私の手書きメモなので、言い回しなどは微妙に異なる部分もあるでしょうが、大意はこの通りだということでご理解ください)。
まず法案を作成した法務官僚側から説明がありました。彼の主張をまとめると、1:虚偽の届け出への罰則は「1年以下の懲役または20万円以下の罰金」で
軽いという批判があるが、このほか認知届の際などの公正証書原本不実記載の罪(5年以下の懲役または50万円以下の罰金)なども加算され、最高刑で
懲役7年6月までできる。2:DNA鑑定を取り入れると、家族法への悪影響が出るおそれがあり、親子関係や家族をそれで決めていいのかという大問題になる。
3:DNA鑑定は、持参された検体が正しいかどうか、どうやって市町村役場や法務局で確保するのか。さらに、DNA鑑定には10万円以上かかるが、だれが
どう負担するのか。4:外国人の子を認知する場合のみDNA鑑定をすることで、憲法が禁じる不当な差別という問題が起きないか…といった内容でした。
衆院法務委員会での質疑でも、法務省はおおよそ似たような答弁をしていましたね。で、これに対し、議員たちからは次のような意見が出ました。

馬渡龍治氏 国籍というものを、そんなにハードルを低くしていいのか。市町村役場が鑑定の判断ができないというなら、政府が信用できる機関でやるぐらい
ハードルを高くしてもいいんじゃないか。偽装認知が疑われている中で、DNA鑑定をしないことによってかえって「あの子は偽装じゃないか?」という差別が
いっぱい出てくるかもしれない。何のための法改正なのか。中心は子供のはずだ。正確な父子関係がしっかり示された方が、その子のためにもいいじゃないか。

秋元司氏 みなさんのところにもたくさんのファクスが来ていると思うが、そこに書かれていることには、国籍取得の重さをどう考えているのかという怒りがある。
国籍を得た後に偽装と分かったら、子供にとっても大変なショックを与える。

戸井田とおる氏 民放722条と国籍の問題を一緒くたにする理由はどこにあるのか。法務省の話を聞いていると、DNA鑑定を入れないようにするには
どうすればいいのかと、そればかり一生懸命考えているとしか思えない(中川義雄氏から「全くその通りだ!」の声)。

西田昌司氏 もし改正案が通ったら、この時代の国会議員は後の世代に不作為の責任、とめられなかったという責任を負うことになる。

有村治子氏 DNA鑑定は万能ではないが、現在持ちうるタマの中では一つの有力な選択肢だ。外国人の子だけDNA鑑定をするのはいかがかというが、ビザ発給の
仕方をみても、どこの国とも対等とするというのは、世界常識でもありえない。差異化は当然だ。偽装に対しては厳しい制裁を科すべきだ。参院(の審議)で、
改正案の見直し期間を条文に入れるというのも一つの手段だと思う。法務省に尋ねるが、国籍取得後に偽装と判明した場合、国籍剥奪、国外追放となるのか。

法務官僚 偽装が発覚した場合は、戸籍は職権で消す。国民でないということなので、国外退去に移ることになる。

佐藤正久氏 市町村や法務局の窓口でどうやって偽装認知を見破るのか。(日本人男性と外国人女性が)口裏を合わせてやると、非常に難しいのではないか。
振り込め詐欺のようなこともある。それと、DNA鑑定については、法務省はひたすらできない理由を並べているようにしか聞こえない。私も自衛官だったから
分かるが、役人にとって、できない理由を見つけるのは簡単(会場・笑)だが、それを何とか実現しようという発想が必要だ。

法務官僚 偽装を見破るのはなかなか難しいが、私どもが考えているのは、まず母親には必ず窓口に来ていただく。日本人男性の方には、来ていただくよう
お願いする。強制というわけにはいかないので任意で。来られた場合には、いろいろと聞く。知り合った経緯、同居の有無、扶養しているか、子の出生の経緯、
どこで生まれたとか。また認知の経緯、なぜ結婚しないのか…などを聴取して、疑問点がないか慎重に判断する(法務官僚は、なぜか佐藤氏の質問に対してだけ
ポケットに手を突っ込んで答える)。

赤池誠章氏 世界各国では日本と同様のケースの場合、DNA鑑定を実施している例はあるのか。法務省は把握しているか。

法務官僚 網羅的には調べていないが、認知の際にDNA鑑定を要求している例は英国などがある。詳しいことは分からない。

…概略、このようなやりとりがあったわけですが、これではやはり、偽装認知のチェックがきちんとできるとは思いにくいですね。法務官僚は、届け出の際に
父親は来なくてもいいが、「来ないと、これは怪しいという方向にいく」と述べ、怪しければ調べるのだということを強調していましたが…。また、法務省は
国会答弁などでもDNA鑑定の導入に否定的なコメントを繰り返してきたのに、諸外国ではどう運営されているかもろくに調べていないことが分かりました。
やれやれです。国籍法改正案に対する国民の厳しい批判を受け、まだ表の場にはあまり表れていません(記者ブリーフなどでは広報されていないので)が、
自民党内では執行部を含めて「これはヤバイな」という意識が生まれつつあります。少なくとも、参院では、衆院のように「3時間だけ」の審議で通すようなことは
できない、確かに犯罪ビジネスに利用されかねない問題があるなという認識が、だんだん広まってきました。参院では自民党は少数派で民主党の天下なので、
自民党に危機意識が芽生えても、それだけではいかんともし難い部分はありますが。実は、このあたりの水面下のやりとりを、明日の産経紙面に書けないかと
思ってデスクに売り込んだのですが、残念ながらきょうは紙面スペースがとれないとのことで、本日は諦めました。また機会を見つけて報じることができればと
思います。この議連の会合は今後も開かれる予定なので、その際にはまた報告します。(国を憂い、われとわが身を甘やかすの記 11/19 17:39)

[ 国籍法改正 パート5 ] ご報告の前に、このたびの件につきましては、本当に多くの皆様から激励をいただき、心から感謝しております。どれだけ皆様の
お声に支えられて心強かったことか、本当にありがとうございました。しかしながら、まだこれで終わりではありません。私は、こんなことではあきらめません。
以下、17日から18日にかけてのご報告です。11月17日(月)、午後4時から「国籍法改正案を検証する緊急会合」が衆議院第一議員会館会議室で開催されました。
開催前に戸井田とおる代議士と事務所で打合せをしていると、大勢の若者が嘆願書をもってやってきました。皆、本当に真剣な目をしていました。その目を見、
私自身、改めて気合いが入りました。会合には議員本人出席14名、代理出席22名の計36名が参加となりました。事務局の私赤池が司会進行役をつとめ、
発起人代表の平沼赳夫先生の挨拶の後、経過報告と討議にうつりました。出席した議員からは、次々と国籍法改正の問題点が指摘され、なぜこのような問題が
多い法案を明日それも3時間だけの審議で通そうとするのかという疑問の声が多数あがりました。中には、造反欠席を公言する議員もいました。最終的には、
18日の採決を阻止すべく、衆議院法務委員長と理事、自民党国会対策委員長等へ慎重審議を申し入れることを決議し、翌日の準備に向け散会となりました。
会合終了後、議員会館の玄関には大勢の若者が集まっていました。皆さんには、「18日衆院採決に対して、自民党国会議員に慎重審議を呼びかけています。
ほとんどの議員が皆さんからのFAXを見て内容を知ったと思います。ただ、私たち国籍法慎重派議員へ届くFAXもあまりにも多くて、職務に差し支えがでています。
できれば、採決までに残された時間で採決阻止にむけて全力を注ぎたいので、FAXをするなら、一人でも慎重派議員を増やすべく、私たち以外への働きかけに
して下さい」という旨のお話をし、その際、ブログも更新してほしいとのお声もいただきましたが、「その時間を議員の働きかけで使わせてください」と伝えました。
その後、自民党法務部会長に直接申し入れを行い、衆議院法務委員長や理事の事務所に連絡を取りました。事務所に戻り、関係議員に電話で直接慎重審議への
支援協力を訴えると同時に、FAXで翌日の申し入れに関する参加要請文書を出しました。さらに、明日の申し入れの文書を作成し、秘書とともに国会会館事務所を
出たのは深夜0時近くでした。18日(火)午前8時40分、衆議院分館2階の法務委員会が開催される部屋の前に陣取り、法務委員長や理事が来るのを待ちます。
同志の先生方が8名集まってくれ、委員長や理事が来るたびに慎重審議書面を渡し訴えました。その後、自民党国会対策委員会へも同様の申し入れを行います。
しかし、予定通り審議をすることは残念ながら覆ることはありませんでした。午前9時、法務委員会が開会します。3時間の審議で、本法案の問題点は
どんどん浮き彫りになるばかりです。そして、いよいよ採決。私は欠席して、反対を貫きました。午後1時からは、衆議院本会議。国籍法改正案が緊急上程され、
与野党の反対は無く、起立採決も全会一致での「異議なし」採決となりました。私は、反対の意志を明確にするために、法務委員長報告のとき退席しました。
しかしながら、残念なことに衆議院では可決成立。ただただ、「無念」という二文字が頭の中を駆け巡ります。しばらく、緊張感から解き放たれた反動による
落胆というか、なんとも言えない思いでいっぱいでしたが、本会議散会とともに気合いを入れ直します。日本は二院制である。まだ参議院がある。参議院議員の
先生方と連絡を取り、19日(水)午前10時から、第2回国籍法改正案を検証する会合を急遽開催することになりました。政治とは「堅い板に力をこめて
じわっじわっと穴をくり貫いていく作業」であり、最善がだめなら、次善策、次善がだめなら三善策と、ネバーギブアップの戦いだと思っています。
どんなにかっこ悪くてもいい。私は、とことん足掻きます。(赤池誠章 11月19日)

国籍法改正案の採決を退席した自民党衆院議員:西川京子、戸井田とおる、馬渡龍治、古川禎久、牧原ひでき、飯島夕雁、松本洋平、平将明、林潤、木挽司

2008年11月19日(水)18時58分16秒