2009年03月06日(金)ここは

[ 最多勝調教師を支える裏方…グリーンウッド・トレーニング訪問 ] 昨年、50勝を挙げて30代初のリーディングトレーナーに輝いた池江寿調教師。
24馬房を持つ2位の藤沢和調教師や3位の池江郎調教師(ともに46勝)に対し、20馬房での達成は評価されるべきでしょう。約50頭の管理馬を20馬房で
うまく入れ替えて出走させた結果で、池江寿調教師は「少ない馬房でもリーディングを取れたというのはグリーンウッドや宇治田原優駿ステーブルといった近郊の
牧場のおかげです。牧場のスタッフには感謝しています」と話していました。記事にも頻繁に出てくる牧場ですが、実際にはまだ目にしたことがなく、"快挙"を陰で
支えたグリーンウッド・トレーニングを訪問してきました。滋賀県甲賀市にあり、栗東トレーニングセンターからは車で30〜40分。正門をくぐって進むと
26馬房ある厩舎が8棟あり、各厩舎に1台ずつウオーキングマシーンが設置されていました。それらを通り過ぎ、馬道橋を渡ると坂路が見えてきます。天候に
左右されない屋根付きで、全長600メートル、勾配は3・5%(栗東トレセンは全長800メートル、高低差32メートル)。坂路の調教風景と坂路の表層材
(白枠円内)表層材の色がトレセンとは少し違うのでマネジャーの加藤幸成さんに聞いてみると、バーク(木の皮)とウッドチップ(木片)の混合だそうです。
「チップだけだと上滑りするのですが、バークを入れることによって締まりやすくなるし、価格も抑えられますからね」と加藤さん。トレセンではウッドチップが
100%で使われていますが、グリーンウッドでは合理的な方法で競走馬を支えています。坂路の奥にあるのが1周1000メートルのポリトラックコースです。
開業が2001年と意外にまだ歴史は浅いグリーンウッドですが、着実に進化を遂げており、一昨年11月に導入された美浦トレセンに続いて、昨年8月に
ポリトラックを採用しました。表層材は砂、ゴムなどの廃材などを混合していたビスコサイドから電線被覆などのクッション材、硅砂、特殊ワックスを混合したものに
変わりました。自動タイム計測器が設置されていて調教もしっかり管理できます。放牧というと休養というイメージが強いですが、この2つのコースを使って
乗り込まれていて、雰囲気はまさにトレセンの外厩。冬毛が伸びてボサボサという馬は少なく、今すぐにでも競馬に使えそうな馬が多くいました。施設が充実
しているのはもちろんですが、一番の利点といえば立地のよさでしょう。放牧先として宮城県の山元トレセンや福島県の天栄ホースパークなどもよく利用されますが、
すぐに馬を見に行くことができて、すぐに入厩させられる点はやはり近郊ならでは。宮城や福島では馬運車の手配などに時間が必要で、入厩させるのに最低でも
2日はかかってしまいますが、グリーンウッドなら翌日入厩が可能です。栗東では40近くの厩舎が預託していることからもわかるように、この点は大きな強みです。
馬の世話や調教をつける調教厩務員は60人近くいるのですが、その多くが20代。「調教師さんの話を聞くことで僕らもすごく勉強になる」と加藤さんは言います。
放牧先で障害を覚えて入厩してくる馬もいるのだから、競馬にとって育成所など牧場の存在はとても大きなもの。馬づくりは人づくりから。厩舎関係者と牧場、
お互いが技術を高め合って、今以上に高いレベルの競馬を見せてもらいたいものです。(橋本樹理の馬界くらぶ 2009年1月14日12時52分)

2009年03月06日(金)02時27分35秒