2009年04月08日(水)こう言う見方も面白いですね。

[ アンナ・カレーニナ ] さて、クルーグマン氏の寄稿ですが、全文を読みたい方はVoiceを購入して頂くとして、要点(と言うか、個人的に面白かった部分)だけ
ご紹介します。「長い目で見ればビッグスリーは生き残れないかも知れないが、金融危機の真っ最中に破綻させるのは良い結果を生まない。そのため、嫌々では
あるが、アメリカ自動車会社を支持している。」「日本の自動車業界、電機、電力などが定期昇給の凍結を表明しているが、景気をさらに悪化させる可能性がある。
いわゆる「合成の誤謬」だ。日本経済全体にとっては、望ましい選択肢ではない。」「日本の問題は日銀が「十年後には物価水準が今より60%高くなっている」
と約束すれば、それでかなり解決する。が、果たして日銀はそう約束できるのか。デフレギャップが大きい日本は、他国よりも高いインフレ・ターゲット(4%が妥当)
を設定しても問題ない。」「日銀は前回のデフレ時に色々とマネジメントのミスをおかした。しかし、最近の日銀はCPや社債の買い取り、長期国債の買い増しなど
積極的な政策を打ち出している。これらは全て望ましい施策。」「大規模な財政出動は経済を強化する。しかし、特定産業に資金をつぎ込み技術保全を図るのは、
難しいのではないか。何を維持するか決定する点で、政府は極めて成績が悪い」「AIGのボーナス支給を問題視し、90%に課税する法案を通したが、これは悪法。
無実の人を罰し、もっと罪を背負うべき人を罰していない。(三橋注:以前から書いている、GS、ドイツ銀行などCDSの勝ち組のことだと思うが、クルーグマン氏は
名指しはしていない)」「アジア共通通貨は作れない。東アジア地域がかなり異なった経済域である事は明らかで、共通通貨を作っても、そのブロックの中で
特異な問題が生じ、調整ができない。」「ユーロは加盟諸国の財政上のトラブルが多く、市場が断片化されてしまい、現時点ではポジションが良くない。現在の
危機を乗り越えれば、二つ目の基軸通貨になる可能性はある。」「アメリカの貯蓄率は0.4%の状態だったのが、70%にまで(注:ママ)上がってしまった。
激減したアメリカ国民の消費に取って代わるものを、世界はまだ見つけていない。」「日本とアメリカ、中国が大変な状態にあるのは間違いないが、それぞれの
問題は異なっている。アンナ・カレーニナの冒頭『幸せな家族はすべて似通っているが、不幸な家族はそれぞれ違う風に不幸である。』のように、誰もが違った風に
不幸である」「日本のように余剰金のある場所から、貯蓄が投資として流れると、世界中が助かる。1500兆円の日本の個人金融資産が動き出すだけで、世界経済は
随分と助けられる。」「株式市場は回復基調だが、今後は全く予想できない。ポール・サミュエルソンの「株式市場は最後の五つの景気後退の中で、九つを
予測した」という言葉どおり、予測は難しい。」「1930年代の政治状況に比べると、現在がそこまで悪いとは思えない。しかし、今回世界中で起きている
大量失業は、決して平和にとって良いこととは言えない。」(三橋貴明のブログ 2009/04/08 17:02:47)

2009年04月08日(水)20時31分34秒