[ 川口オートG1「第33回キューポラ杯」決勝戦後記 ] 川口オートで行われてきたG1「第33回キューポラ杯」は22日が決勝戦。優勝はトップスタートから8周回を
逃げ切った荒尾聡。2着に高橋貢、3着が永井大介だった。高橋貢の通算最多150Vは次節、浜松のG2「サマーチャンピオンズカップ2009」以降に持ち越しとなった。
勝った荒尾聡。今回、私とともに取材を行った本紙の淡路哲雄記者の話では、今節、荒尾はかなりスタートに自信を持っていたようだ。それは今節はずっとスタート練習に
出てこなかったことでも表れていて、「スタート練習はクラッチ関係やマシンにも多大な負担がかかる。いつもは、そのリスクを考えてもスタート練習には行っているが、
今節はスタートはタイミング的にも合っていると思っていたので、スタート練習には行かなかった」と荒尾が淡路記者に対して答えたそうだ。それだけ、スタート練習には、
手間ひまと労力がいることの証明でもある。そのリスクを背負ってでもスタート練習に何回も出る選手も多い。逆にいえば、普段、何回もスタート練習に出ている選手が、
何日も出てこない。それは、選手サイドがスタートをつかんでいるケースが多いということを荒尾が言葉で示してくれたといえる。じっくり、朝練習を見るような熱心な
ファンへ対して荒尾なりにメッセージとして伝えたかった言葉かもしれない。朝練習は見られなくとも、川口でも、伊勢崎でも予想屋さんが熱心に練習を見ている
場も多い。そういった人々の口上でスタート巧者が何日もスタート練習に出てこないといった発言があったとすれば、それはスタートをつかんでいることの裏返しかも、
と推理できるということだ。レースは荒尾の独壇場といえるものだった。トップスタートを切って、一気の独走。早めに2番手に上がった高橋貢ですら「エンジンは
(荒尾)聡の方がよかった」と言い、3着の永井大介は「あのタイム(上がり3秒368)で走られては」と語り、4着の東小野正道が「聡にはすごいスタ-ト行かれた」と
上位陣が脱帽するスタート、エンジンの仕上がりを発揮。G1は昨年10月船橋「オート祭」以来、通算6回目。川口でのG1は初、通算では20回目となる優勝を
手にした。レース後の共同記者会見で荒尾は「フォーク周りを扱って粗さも取れたし、エンジンは仕上がっていた。スタートもタイミング良く切れた」と語る。
「あとはSGでどこまで通用するかですね」。9月には同じ川口でSG「オートレースグランプリ」が行われるだけに、弾みがつく優勝だった。荒尾はまだ年末、船橋で
行われる「スーパースター王座決定戦トライアル」への出場ポイントがわずか「3」点しかなく、次の「オートレースグランプリ」とその次の伊勢崎でのSG「日本選手権」は
ともに決勝進出が最低ノルマというような勝負駆けが続く。このG1勝ちは荒尾が2月、飯塚の「開設記念」で落車、骨折して以降、復帰後も「なかなか勝ちきれなくて」と
低迷していた苦しい時期を乗り越えた価値ある1勝といえるだろう。負けた選手のコメントも聞けただけ、掲載します。2着の高橋貢は「セッティングをやったけど、
コーナーの感触が良くない。あまり変わってなかったね」。3着の永井大介は「雨が降りそうで少しヤマの高いタイヤで行ったら乗りづらさが出てしまった」。4着の
東小野正道は「セッティングをやったがエンジンブレーキの効きが悪かった」。6着の若井友和は「(今年4月の)新型マフラー導入以降、一番エンジンは良かった。
試走から滑らないし手ごたえもあった。欲を言えば、スタートでもう一人分でも前へ行けたら」とレースを振り返っていた。7着の久門徹は「曇ってしまってコーナー手前の
感じも、直線からその先のアシもすべて悪くなってしまった。試走から落ちそうになるぐらいでした」4日目まではかなりの仕上がりだっただけに、残念そうに話していた。