2010年04月14日(水)なるほどな。

[ 元広島ルイス米大リーグ復帰初勝利 ] カープが苦しんでいる。開幕戦を快勝したものの、その後は投手陣が打ち込まれて7連敗を喫するなどでなかなか調子が
上がらない。打線はそこそこ点を取るものの、特に、先発投手陣が早めに崩れてしまい、カープのペースで試合が進められないことが多い。野村監督も「足を使ったり
いろいろと動きたいが、それができない展開ばかりなので…」と悩ましげだ。昨季の今ごろ思い出すと、全く今季と逆だった。投手陣が好投するが、打線が打てず
接戦を落として調子に乗れなかった。今年は大竹が調整遅れで開幕に間に合わず、新助っ人ジオや斉藤もいまひとつ。こうなると、どうしても感じてしまうのが、
2年連続2ケタ勝利を挙げたルイスの抜けた穴の大きさだ。昨年オフ、ルイスは米大レンジャースと契約し、広島には戻ってこなかった。両球団が提示した契約条件には、
それほど大きな差はなかったと聞く。カープ首脳は「ルイスは家族の健康に問題を抱えていた。だから米国を選んだようだ」と説明していた。契約条件に大差がないなら、
英語が通じる母国のほうがいい、というわけだ。プライバシーに配慮しどんな健康問題なのかは伏されたが、球団もルイスの状況を理解しており、エースを失うのも
やむなしという姿勢だった。後に分かったことだが、ルイスの妻ジェニーさんは、歌手絢香が患っていることでも知られる「バセドー病」だった。血液中の甲状腺ホルモンが
過剰になり、首が腫れたり、発汗、手の震えなどさまざまな症状があらわれる病気だ。ルイスは日本で家族と一緒に暮らしていたが、夫人は定期的に病院に行き、
投薬を受けていたという。秘して語らなかったが、快投を続ける裏で、家族の抱える問題とも戦っていたのだ。そのルイスが先日、メジャーで復帰初勝利を挙げた。
昨季、ルイスのそばで我々の取材に協力してくれた西村通訳は「勝ってくれてうれしいですね。いなくなったのは残念ですが、復帰した限りはおおいに活躍して
もらいたい。そうすれば米国でカープの評価も上がるでしょう?」と話してくれた。記者も、偶然ビアホールでルイスを見かけたことがある。プライベートで来ていたが、
詰めかけたファンの求めに応じて、笑顔でサインをしていた姿を覚えている。本当にナイスガイなのだ。ついつい「ルイスがいれば」と考えてしまうが、彼は母国で
新たなスタートを切った。それを遠く日本から応援しようと思う。カープはカープで、新たなスタートを切ったのだから。(高垣誠 4月14日)

2010年04月14日(水)20時53分49秒