2010年07月04日(日)寛仁親王牌アラカルト

[ 競輪とケイリン…21歳・脇本の挑戦 ] 村上兄弟の躍進で、今もっとも勢いがある近畿勢。その近畿地区で若手ホープとして大きな期待を集めているのが
S級2班の脇本雄太(21=福井、94期)だ。ゴールデンウィークは平塚記念(4月29〜5月2日)に出走。初参戦した記念競輪で持ち味を存分に発揮し、
全国のファンに強烈アピールした。真骨頂を発揮したのは初日のレースだった。相手は小川勇介(25=福岡、90期)と上原龍(25=長野、95期)。三分戦になったが、
打鐘から仕掛けてその2人を寄せ付けない圧巻の逃走劇を披露したのだ。「僕は打鐘からの先行にこだわりを持っている。まくりはいつでもできますからね。
若い今はチャレンジャーだし、先行しか考えていない。先行争いを挑まれたらですか?もちろん潰しにいきますよ」。こう言い切るところから、負けず嫌いで、強いハートの
持ち主だということが分かるだろう。ちなみに、現在の徹底先行スタイルになったのは「高校のときに見た乾準一さん(34=大阪、85期)のレースに衝撃を受けた」から。
打鐘から先頭に立ち、風圧の壁をものともしない猪突猛進の逃げ切りをみて「僕もあの走りがしたい」と決心したと言う。平塚記念の残り3走は展開面の不利もあり
白星ゲットとはならなかったが、今後の活躍を予感させる走りをしていた。脇本は先行一本で競輪に挑む一方で、自転車競技にも取り組んでいる。ロンドンオリンピック
(2012年)に向けたトラック競技の強化育成選手に選ばれており「国内の競輪と自転車競技では使うフレームなど違いはあるけど、うまく両立して頑張っていきたい」と、
二足のわらじを履く決意を固めている。1メートル80センチ、72キロの細身の体からは想像もできないほど無尽蔵なスタミナが最大の武器。S級トップクラスへの
道を駆け上り、その先にオリンピック出場も狙っている。好きな食べ物は「カレーライス」と言う食べ盛りの21歳。人見知りをせず、誰とでも気さくに話すことができる
人なつっこい性格からか、レース後、脇本を囲む報道陣や選手たちはみな笑顔になる。明るいキャラクターの裏側で「レース前日は“先行できなかったらどうしよう”と
不安になることもあります」と本音を吐露する。それでも「大のビール党なので、レース前日は軽くビールを飲んで、ぐっすり寝ちゃうんですけどね」と笑い飛ばすところが
脇本の魅力の一つだ。今後の目標を尋ねると「まずは今の近畿勢の勢いに乗っていきたい。そしていつかは同県の先輩・市田佳寿浩さんと連係して
“福井ゴールデンコンビ”と言われるようになりたい」と目を輝かせた。スケールの大きな先行勝負で近畿勢を引っ張り続ける新星に大注目だ。(2010年5月12日)

[ 準決10Rで5車落車、井上昌己骨折 ] 決勝切符をかけたサバイバルは大波乱となった。準決10Rは大量5車が落車。市田佳寿浩の内で粘った井上昌己が
5周目4角で接触落車し、井上に乗り上げた後続4車が落車した。病院に搬送された井上は右肋骨(ろっこつ)骨折(全治35日間)で17日開幕の函館サマーナイト
出場は厳しくなった。続く準決11Rは最終2センターで稲村成浩と渡辺晴智が接触落車。4角で村上博幸は、内を突いた山口幸二に押し上げられて落車し、
山口は失格。G1初出場の脇本雄太が逃げ切って3連単は43万1490円の好配当となった。(2010年7月4日 10時9分)

2010年07月04日(日)16時53分45秒