[ 東電は海水注入を事前報告 菅首相「報告はなかった」と矛盾 ] 東京電力福島第1原子力発電所1号機への海水注入が、菅直人首相の言動を受け55分間中断したと
される問題で、東京電力が、海水投入の3時間以上前の3月12日午後3時20分ごろ、経済産業省原子力安全・保安院に海水注入する旨を事前報告していたことが
24日、分かった。首相らが海水注入の協議を始める2時間40分前にあたる。首相は国会で「東電から海水注入の報告はなかった」と答弁しており、政府説明にまたも
矛盾が浮上した。複数の政府筋や関係者が明らかにした。それによると、東電は3月12日正午ごろに海水注入の準備を決め、午後2時50分ごろに注入実施を決定。
原子力緊急事態でただちに首相に必要な情報を報告することを定めた原子力災害対策特別措置法15条に基づき、午後3時20分ごろ、原子力安全・保安院に
「準備が整い次第、炉内に海水を注入する予定である」と記したファクスで報告し、午後7時4分に注入を開始した。東電の清水正孝社長も5月2日の参院予算委員会で
海水注入指示の時間を「真水停止(午後2時53分)の前だ」と証言。注入中断についても東電は5月21日に「官邸が『海水を注入すると再臨界の危険がある』としたので
政府の判断を待った」と説明していた。これに対し、首相は23日の衆院東日本大震災復興特別委員会で、海水注入中断について「私が止めたことは全くない」と関与を
否定。東電による海水注入についても「報告が上がっていないものを『やめろ』とか『やめるな』というはずがない」と述べた。海江田万里経産相も24日の同委で
「もし海水注水をやっていることが分かっていれば継続になった」と説明した。首相が3月12日午後6時から首相官邸で開いた海水注入に関する会議には保安院幹部も
出席しており、首相らが東電からの通報を知らなかったとする説明は極めて不自然だといえる。しかも首相官邸は原発事故直後から「対応策は政府の指示という形で
出すように」と命じるなど指揮系統の一元化を徹底。3月15日には政府と東電の事故対策統合本部を設置した。仮に首相が保安院から東電の通報を伝えられて
いなかったとすれば、首相官邸の危機管理体制は全く機能していなかったことになる。一方、原子力安全委員会の班目春樹委員長は24日の衆院特別委で、海水注入
中断について「『再臨界の可能性があるから注水はやめた方がいい』とは絶対に言っていない。『再臨界の可能性がゼロではない』という発言は『事実上のゼロ』という
意味だ」と強調。「職務を全うすることこそが私の使命だ。とことんまで付き合わせていただきたい」と辞任を否定した。(ブサヨ産経 2011.5.25 01:30)