2011年05月28日(土)ふーん。

[ 「悪い物価上昇」家計を圧迫 穀物高騰→食品相次ぎ値上げ 日銀打つ手なし ] 総務省が27日発表した4月の全国消費者物価指数が2年4カ月ぶりに上昇に
転じたのは、穀物や資源価格が高騰していることが主因で、景気回復による需要の増加を伴わない「悪い物価上昇」だ。食料品などの身の回りの商品は今後も
値上がりするとみられ、賃金や雇用環境が改善しないなか、家計をジワジワと圧迫する。“物価の番人”である日銀も打つ手が見あたらず、日本経済は一段と厳しい
局面に立たされている。「食料、エネルギーが大きな変化を示しており、注視していく必要がある」総務省は、物価上昇への警戒を強めている。新興国の成長による
需要増大に加え、世界的な金融緩和であふれた投機マネーが商品相場に流れ込み、食料や資源価格を押し上げている。さらに東日本大震災による部品のサプライ
チェーン(供給網)の寸断や電力不足で企業の生産が停滞し、品薄状態が続いていることも一部で物価上昇の要因となった。みずほ証券リサーチ&コンサルティングの
宮川憲央シニアエコノミストは「夏場にかけて物価は騰勢を強める」と警告する。商品の供給サイドでインフレ圧力が高まる一方で、需要は震災による消費の冷え込みで
縮小。日本経済を蝕むデフレの元凶である需要不足が一段と深刻化する懸念がある。原材料費の上昇を価格に転嫁できないと利益が目減りし、値上げすれば、
売り上げが落ちる。企業業績の落ち込みは避けられず、賃金や雇用が悪化して消費がさらに低迷するという悪循環を招きかねない。悪い物価上昇と景気低迷の
同時進行には、日銀の金融政策も無力だ。インフレ圧力が強まれば、本来は金融の引き締めが必要になる。日銀は「1%の物価上昇」をゼロ金利政策の解除の条件に
しており、「出口戦略論」が浮上してもおかしくない。だが、市場からは「追加緩和で景気を下支えするべきだ」との声が上がる。日銀も「出口どころではない」(幹部)と、
緩和を続けるしかないのが実情だ。小麦など穀物価格の高騰を受け、製粉メーカーや大手製パン各社が6月以降、相次いで値上げする。小麦は幅広い食品に利用され、
値上げがさらに広がる可能性もある。食用油やコーヒーなどの価格も上昇しており、家計のやりくりは厳しくなる一方だ。製粉最大手の日清製粉が業務用小麦粉の
出荷価格の引き上げを決めたのに伴い、山崎製パンと敷島製パンは、7月1日から食パンや菓子パンなど主力商品を値上げする。平成20年5月以来、3年2カ月ぶりの
値上げを決めた敷島製パンは、震災で消費意欲が落ち込んでいることから、値上げ幅を7%と最小限に抑えたという。「砂糖や油、卵の価格が高止まりし、原材料に
占める割合が多い小麦まで高くなり、非常に厳しい。値上げは苦渋の決断だ」(同社)と理解を求める。日清オイリオグループは、大豆や菜種の上昇を受けて4月1日から
家庭用と業務用食用油の値上げを決め、値上げされた商品が徐々に店頭に出回り始めた。コーヒー各社も今月下旬から商品価格を値上げした。コーヒー生豆の相場が前
期比2倍超になり、キーコーヒーは原材料費が約10億円押し上げられ、23年3月期連結決算で最終利益は前期比71%減った。冷凍食品のニチレイも鶏肉や包装材
などの価格上昇を受け、10月以降の一部冷凍食品の値上げを検討している。原料価格の高騰は業績の大きな重しになっており、追随も予想される。米国中西部の
天候不順などで、トウモロコシの先物相場が最高値に迫る高水準になり、小麦や大豆の穀物高が再燃している。6月末に発表予定の米農務省のトウモロコシの
作付け状況が悪化すれば、「4月の最高値を更新する」(穀物商社のコンチネンタルライスの茅野信行代表)勢いだ。26日のシカゴのトウモロコシの先物相場は
1ブッシェル(約25キログラム)=7ドル49セントと、リーマン・ショック前の最高値を更新した4月11日の7ドル83セントに迫った。米国では、金融緩和策からの転換を
探る動きもあるが、「投機マネーは減らず、穀物相場は強含みで推移する」(翁田紘希・住友商事総合研究所シニアエコノミスト)見通し。世界生産の約4割を占める
米国は、トウモロコシを使ったバイオエタノール燃料の振興で輸出余力が落ちた上に天候不順が加わり、相場は昨年の約倍の水準に跳ね上がった。これに昨年初の
トウモロコシ輸入に踏み切った中国の需要拡大が、追い打ちをかける。小麦も世界的な天候不順が価格を押し上げている。欧州の干魃(かんばつ)や北米の洪水で
高品質の小麦が不足し、ミネアポリスの先物市場は26日、10ドル45セントをつけ、今後も上昇局面が続くと予想される。(ブサヨ産経 2011.5.28 01:40)

2011年05月28日(土)02時24分21秒