[ アナログテレビの不法投棄増加 自治体は戦々恐々「マナーに頼るしか」 ] 24日の地上デジタル放送への完全移行(岩手、宮城、福島の3県を除く)を前に、
不要になったアナログテレビの不法投棄が全国で相次いでいる。回収に追われる自治体は「マナーに頼るしかない」と頭を抱えるが、その処理費は税金から出て行く。
「このまま増え続ければ、資金繰りが立ち行かなくなる」との嘆き節も聞こえてくる。(三宅陽子)環境省によると、全国のブラウン管テレビの不法投棄は、平成19年度
6万7838台▽20年度7万534台▽21年度8万1427台−と右肩上がりで、集計中の22年度も増加の見通し。都道府県別では、21年度で北海道が6880台と
最も多く、次いで大阪6638台、愛知6486台と続き、東京、埼玉、千葉も5千台の大台に乗った。不法投棄といえば、人気の少ない山林などを思い浮かべるが、
「最近は繁華街の道路に堂々と捨てられていることが増えた」と名古屋市の担当者。同市は22年度、1566台のテレビの不法投棄を確認。ある政令市の環境事業所は
不法投棄者の良心に訴えるため、発見してもすぐには回収せず、数日間放置したこともあったが、結局は「ゴミがゴミを呼ぶ結果」となったという。さいたま市も22年度に
1622台を記録。現在は民間の委託業者のほか、市職員も夜間パトロールに繰り出す。場所によっては監視カメラも設置したが、市外から持ち込まれるケースもあり、
“いたちごっこ”が続いている。一方、一般家庭や事業所から無料で回収したテレビの部品だけを取り除き、不法投棄する業者の存在を指摘する声も。従来は発展
途上国に輸出して利益を得られることもあったようだが、「最近は途上国でも液晶テレビの普及が進み、20インチのブラウン管テレビの販売額は500〜600円ほど。
コンテナ台などを差し引けば利益はほとんどない」と都内の廃品回収業者は明かす。法律では、テレビを廃棄する場合、所有者はリサイクル料金(15型以下1785円、
16型以上2835円)を支払って、業者などに引き取ってもらう必要がある。不法投棄すれば5年以下の懲役か1千万円以下の罰金。だが、不法投棄されたテレビの
多くは持ち主不明のまま自治体が収集し、リサイクル費用を税金で支払って処理しているのが実情だ。名古屋市は22年度にテレビのリサイクル料として約280万円を
支出。市環境局作業課の担当者は「こんなに多くのテレビが捨てられることは想定外のため、他の予算からなんとか工面している。本来なら有意義なことで市民の
皆さんに還元したいのに…」と憤る。自治体の中には「地デジテレビの買い替えは24日前後がピーク。それが過ぎればある程度落ち着くのでは」(千葉市)との
予想もあるが、2台目、3台目の買い替えを控える家庭も少なくない。「停波で不法投棄が急増すれば、予算を組むのも難しくなる」(さいたま市)。多くの自治体が
戦々恐々としている。(ブサヨ産経 2011.7.7 17:52)