睡蓮の沼に沈み、指先はまどろむ
その指と同等の生暖かな温度に
失われるのは彼(か)の記憶の
ひとつの恋もなく
ふたつの愛もなく
みつの日々もなく
よつの形見もない
まどろんだ彼の午後のように
不確かな真白い昼の夢
愛したのは確かでしょう
待ったのも確かでしょう
片恋の夢に溺れて
睡蓮の沼に失われた指先
もう居ない彼の人に
捧げた約束の小指先