
冷たき手の温度は
幾ら経とうと温まる事を知らず
真白に染まりし指を
只いたづらに重ねれども
ゆきはわたくしをわすれてしまった
ゆきはわたくしをおいていってしまった
春を告げし梅の香も
あたたかな太陽の温度でさえも
わたくしを攣れてゆく事ができず
只その融け逝くゆきの上で
熱の存在せぬあの海底を思い出し
わたくしをつれていってくれるひとを、わたくしはひとりでまっているのだ
身体はもう無い
散らばったわたくしの骨ももう、どこにいってしまったのか
見当もつかぬのだ
ではいったい、
わたくしはいま、なんであるのだろうか、と
問ひ
みみに残る微かな音を、思い出そうとするばかりであった