翌日、よく晴れた空の下で薪を割るヴェルテの姿があった。
庭には大量の薪が積まれている。
「…めんどくせっ!」
ふて腐れた顔で汗を拭ったかと思うと斧を放り投げ、大の字になって庭に転がった。
夕べはよく寝たが、まだまだ寝足りない。
このまま一眠りしようと思っていると、息を切らして走って来るティールの声と足音が聞こえて来た。
「ヴェルテー!今日は隣町にお姫様が来るらしいよ!」
「ほんとかよ?!」
『お姫様』と聞いて慌てて身を起こす。
「うん!…あ、でも今忙しい?」
辺りを見回すと先程まで横で呑気に喋っていた父はどこかへ姿を消していた。
逃げ出すには絶好のチャンスだ。
「とりあえず、逃げるか」
ニヤリと笑い、ダッシュで勢いをつけて庭の柵を飛び越える。
着地すると同時に後ろから怒った声で自分を呼ぶ声がするが、気にしない。
2人は笑いながら隣町へ向かって駆け出した。
そこにはここ数日の慌ただしさは、もうなかった。
いつもの平穏な日常が戻っていた。