観察レポ =オオシモフリスズメ=


12.4.24


昨晩から長野遠征。 オオシモフリスズメの♀を探していた。

いくつか落ちていたけどすべて♂。

事前に調べておいた方面を適当に走っていくとよさげな場所があり、電柱にいる本種を発見。

パッと見ちょっと大きく♀かなと思い、よく見ると下に卵が8つあった。

この個体はモゾモゾしていたので、まだ産む気だったようだ。

しかし、周りに食樹がなさそうだったけど、孵化した幼虫は大丈夫なのだろうか?







♀がいたら産ませようと梅入りのケースを準備していたが、卵があるのならこれをいただいちゃおう。

4つだけそっと剥がした。









12.4.27


卵の色が変わってきた。

孵化は月末か5月初めと思われる。








12.5.1


本日未明撮影。

採卵時刻もちょうどこの時間(AM2:30過ぎ)だったかな。 ピッタリ一週間が経過した。

孵化は時間の問題のように思える。

ウメで飼育しようか、サクラでも大丈夫らしいので二つに分けてみようか。










12.5.3


9日目、卵に変化があった。

昨日から白っぽくなってきたけど、現在中が透けて見えるような感じ。

緑・黒・ピンクに見えるあたりが面白い。 現在AM1:30、本日中の孵化も有り得そう。





夕方、全部の卵が黄緑色になった。

夜、仕事から帰ると2個体が孵化していた。

さすが大型種、孵化直後の幼虫が1pちょっとある。







急いでサクラの葉っぱをとってきた。

ウメは少し距離があるところにあるので、サクラで飼育できるのなら助かる。

しばらくは複数で管理しようと思ったが、一緒にするとすれ違いざまに喧嘩をするので

単独管理に切り替えた。









30分後、もう1個体がちょうど孵化。









孵化直後は尾が短いようだ。 数十分経つとスラっと長い尾になった。

残り1個の卵は、深夜になっても孵化しない。

なんとなくこのまま出られないような気がする… 明日まで待ってみよう。





12.5.4


昨晩孵化しなかった卵は、今朝起きたら元気な幼虫になっていた。

4個体無事に孵化できた。


サクラの葉は問題なく食べている。 このままサクラで観察していこう。

静止中はこのようなポーズでジッとしている。

現在数種の幼虫がいるけど、どれも個性があって面白い。








12.5.5


残念ながら1個体落ちた。





12.5.6


残り3個体のうち1個体が急に食べなくなった。

考えられる原因を洗い出し、できる対策を全てやってみた。

ケースを少し大きめにして、葉を取り換えて涼しい部屋に移動。

そうしたらまた食べるようになったのでとりあえずは安心。

他の2個体は20mmほどになっているが、この個体は約15mmと若干小さい。

今後は心配させず成長してもらいたい。








12.5.7


1個体脱皮して2齢に。

丸かった頭部が尖がり、ザラザラ感がアップした感じになった。










12.5.8


6日に記載した個体が落ちそう。

2/3まで脱いだところで脱皮に失敗してしまった。

残念だけど、どうすることもできないし… もどかしい。





12.5.11


昨日、脱皮に失敗した個体が落ちた。

残り2個体もあまり食欲がないようだ。 サクラよりやっぱりウメの方がいいんだろうか?

もう少し様子を見て、改善されないようなら対策を考えることにする。





12.5.12


心配したけどサクラで平気そうだ。 食わなかったのは脱皮だった。

最近落ちてばかりなのでナーバスになってるかも…

3齢に脱皮したけど、今のところ大きく見た目は変わらない気がする。

これから変化が出てくるかな? 楽しみだ。








12.5.16


だいぶ大きくなってきた。

細見だけど4pくらいで、ほぼ同じ時期に孵化したエゾヨツメやイボタガの幼虫よりも存在感がある。

今後は太くなり10pを超えるとか…

楽しみでもあり、管理が大変になるかも。 (画像はティッシュのカスがついてます)








12.5.18


大きい個体が4齢になった。 

大きな変化はないけど、尾の黒い部分が少なくなり、気門が目立つようになったかな。

そろそろバリバリ食い始めるころと思われる。





泣きながらお願いしているようにも見えたり、たて笛を吹いているようにも見えたり





12.5.20


小さい方も本日4齢に。 大きい方は脱皮後食欲旺盛に。

サクラの葉はけっこう大きいけど一日でほぼ完食。 現在55oほど。










12.5.26


二日間固まっていて、今朝ようやく終齢に脱皮。

一枚目画像で約70o。 これからでっかくなるだろう。










12.5.28


とにかくバリバリバリバリ… 食いまくり。 脱皮をした後のう○こがでかいこと…

数日後に4日ほど家を空けるが、カミさんはうまく管理できるだろうか?

先日と同じような画像になるけど、サイズは20oアップして約90o。







もう1個体がちょうど脱皮していた。

こちらも無事に終齢となった。








12.6.6


2個体とも同じ大きさになり順調に管理中。

そろそろ蛹化と思われるけど、現在のところ変化なし。

たまに小さく 「シュッシュッ」 と威嚇するけど、迫力はなく可愛い感じ。

サクラの葉をたくさんとってきても、一日で10数枚ずつ平らげるので大変だ。

サクラならどの種の葉もちゃんと食べている。

10pは超えていると思われるこのボディーも見られなくなる日が近そうなので、

本日は2個体撮影した。











12.6.7


あれだけバリバリ食いまくっていた幼虫のうち1個体がパタっと食わなくなった。 蛹化の前触れか?

本来は土を入れた方がいいんだろうけど、とりあえずティッシュを厚めに敷いて様子を見ている。






12.6.8


昨晩就寝前に見ると色付いてきた。 もう蛹化間近と思われる。








昼、さらに色付きが加速。

ケース内を歩き回っていることが多いので、可哀想になり針葉樹マットへ入れてみた。







しかし、一向に潜ろうとしない。

もしや、針葉樹のマットが嫌なのかと夕方から広葉樹マットに入れ替えたけど状況は変わらず。

スズメガの蛹って地中というイメージなんだけど、この種は違うのかな?

検索してみても、蛹化の記事が見つからないので困る。

とりあえず明日まで様子を見てみるけど… 上から葉っぱも被せておいた。






12.6.9


昨日と状況は変わらず。 もう1個体も色付いてきた。

画像は本日未明に撮影。

赤いジェル状のものを出した。 これは蛹化前の不要物排泄と思われる。






このままではうまくないので、何か対策を立てなければいけない。

再度調べるも、蛹化場所などの情報はない。

本来の蛹化場所はどうなのかを考えてみると…


・ 土中で蛹化

・ 幹や枝で繭を作り蛹化

・ 地面で枯葉などを綴って蛹化


この3パターンのどれかと思われる。


まず土中。 これが有力かと思われたが、二種類の土で潜らず。

容器が小さいのが原因かと大きい容器でも試したが同じ。

土の上を歩き回る際、上に登ろうとしていたので潜ることはなさそうな気がする。


続いて幹上での蛹化。

本日、大きめに枝を切ってきて登るかどうかを試してみたが、結局は登らなかった。

体が重いし、やはりこれはなさそうだ。


最後に地面での蛹化。 現段階ではこれが有力なのか?

取ってきた大きな枝を横にして入れていたが、動き回ってばかりでなかなか落ち着かない。

容器も大きいけど、2個体入れたのがいけなかったか、シューと威嚇してばかり。

俊敏な横エビ反りは迫力がある。

別々に分けてしばらくすると、先に色付いた方が落ち着き始めたような雰囲気。

これで蛹化してくれるとありがたい。








12.6.11


後に前蛹になった個体の方が観察しやすいのでこちらで。

両個体ともやっと落ち着いたようだ。

とりあえず大丈夫そうなのでこのまま様子を見ていきたい。









12.6.17


14〜16日は遠征していたが、15日に蛹になったとの連絡が。

昨日帰宅すると大きな蛹になっており、土の上に移動させた。

その際、元気に動いていたので大丈夫だろう。

蛹も 『シュッ』 というらしいけど、残念ながら音は出さなかった。


もう一つは蛹化途中で落ちてしまったらしい…

蛹まで来られたのは1個体だけ。 来春無事に羽化してほしい。










12.11.7


見た目的には大丈夫そうに見えるけど…

オオシモフリスズメはこれ1個体なので、無事な羽化を切に願いたい。

羽化は来春。

無事に羽化できたら、捕獲現場付近にリリースするか、♀だったら♂を探して交配させるかも。








13.2.15


まだ変化はない。

見た目は全く変わらないけど、果たして無事なんだろうか?

昨年、蛹化形態が明らかではなかったが、ようやく答えを見つけることができた。

地表の落葉などの下で蛹化』…とのこと。

ということは、とりあえず現状の状態で問題はないだろう。

自然下よりも早めに羽化すると思われるので、

気は早いけどそろそろチェックを強化して観察したい。





13.3.20


生きてるのかな? 毎日チェックしているけど変化なし。

自然化では4月初め頃から羽化してくるだろうから、もうちょっとしたら室内へ持ってこよう。

その際は涼しい部屋に置いておく。





13.3.24


本日、室内の涼しい部屋に移動。

ダメか? 持った感じやけに軽い… もっとずっしりしていると思うんだけど。

夏場の高温がいけないのかな? まだ望みは捨てずに見守ってやりたい。








13.4.30


本日で4月も終わり。 発生時期も終盤ということで、失敗の巻と結論付けることにした。

原因は夏場の高温なのか、湿度の問題なのか… カビ対策があるので湿度管理は難しいよね。

念のため、5月下旬まではこのまま管理していくけど… 万が一のことがあったら報告する。


またチャレンジしてみたいと思う。 次回はいろいろと管理に工夫してみたい。



持って帰ってきた卵が孵化したので、今年もやることになりました。

その模様は、こちらで報告していきます。 (観察レポのトップページからも見ることができます)



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