観察レポ =シンジュキノカワガ=


23.10.24


今日の散策の終盤、シンジュの木に黄色と黒の縞々模様の幼虫がたくさんついていた。

これはもしやあれじゃないかい!?

今から4年前の山梨での散策で遭遇した毛虫。

派手で見栄えが良いので飼育してみたいと思ったけど、正体がわからなかったのでスルーした。

帰宅して調べると、なんと偶産のシンジュキノカワガではないか。

その時の記事は、こちら で確認できます。

後日、その幼虫探しに行ったけど、姿はなく繭の形跡もなかった。

次回もし機会があれば、絶対に持ち帰ろうと思っていた。

4年経過した本日、その瞬間が訪れた。





30近く幼虫はいたけど、とりあえず早めに蛹化しそうな大きいのと、せっかくだから小さいのと

合わせて5つ持ち帰る。

寄生のリスクはあるけど、この種は卵で見つけるのはかなり困難なのでしょうがない。









終齢×3、4齢、3齢もしくは2齢終盤ってとこかな?

日本の冬じゃ越冬できずに死んでしまうようなので、蛹になったら室内の涼しめの部屋で

管理して羽化させたいと思う。


ちなみに、今年はシンジュキノカワガの日本への飛来は多いんじゃないか?ってことらしい。





23.10.25


飼育観察仲間さんにも連絡したところ、やりたいとのことなので追加で確保しに行った。

その際、少し小さいもう1個体をお招きし、24日画像の二番目に小さい子と入れ替えた。

この種をやる機会は今後いつになるかわからないので、楽しんで観察しようと思う。








23.10.26


昨晩遅くから、一番大きい子が歩き出した。

蛹化態勢に入ったようで、うまく細い枝か葉っぱで繭を作ってくれたら楽。


が、今朝起きてもずっと動き回っている。

とりあえず一枚撮っておくか。





黄色味が濃くなっているのが、蛹化間近のサインなのかな?

本来は少し太めのシンジュで繭を作るけど、調べたら他の木でも大丈夫みたいだ。

至急我が家近辺で探しに行き、質感的に金木犀が良さそうだったので枝を確保。

入れて少ししたら気に入ったようで落ち着いているように見える。


ちょっと出かけて一時間後(12:40)に帰宅すると、繭作りを始めていた。

うん、これでいいようだ。

刺激するとすぐに落ちそうなので、ケースから出さずに撮影のため見づらい画像になります。





↑から6時間後(18:30)、休まず繭作りをしているけど、けっこう念入りにやっている。

サイドはだいぶ出来てきたかな。

完成は、明日の朝くらいになりそうな感じ。





↑から2時間ちょっと(20:45)でここまできた。

両サイドに繭を作って、最後に真ん中に寄せて縫い合わせるようだ。

なるほど、頭いいじゃん。





一時間後(21:45)、完全に塞がったので、取り出して撮影した。





見事に枝に擬態してる。

蛹になったら音を出すようなので、それも楽しみにしておく。

ちなみに、2個体目が先ほどから蛹化態勢に入ったので、明朝には完成してるかも。





23.10.27


昨晩から蛹化作業を始めた2個体目は、今朝はまだ一生懸命作っていたが

13時過ぎに見てみるとほぼ完成していた。





繭作りは12時間以上かかってる。 大変な作業だよね。

繭を作る上下の枝から少しずつ削って糸に張り付ける。

こちらは繭上部で、下に少し見えるのが繭。

真ん中らへんが緑色に見えるが、ここが削り取られた部分。





なので、緑色の枝で作れば繭も緑っぽく、茶色い枝なら茶色い繭になる。

次回から、別の色の枝を持ってこようと思う。


もう1個体の終齢はまだ食べているが、そろそろ蛹化態勢に入りそう。

小さめの2個体は脱皮したようで、共に4齢のような姿になっていた。

きっと、孵化したら成長が早いタイプなんだろう。










23.10.29


昨日、3個体目が蛹化態勢に入り、緑色のカエデの枝を入れたけど

ツルツルすぎて全然落ち着かなかった。

数時間様子を見たけど諦め、金木犀に移したらすぐに繭作りを始めて完成した。

枝の種は問わないけど、ある程度ザラザラじゃないと削れないからダメみたいだ。


今日、1個体が脱皮していた。

これで終齢だと思うけど、やっぱり成長は早い感じだ。

もう1個体も脱皮間近の態勢だった。







先に繭になった2つは、触ると特有の音を出すようになった。

シャカシャカシャカシャカ…って。

生存しているので、寄生の心配はなさそうだ。





23.10.30


家の近くで確実に食草を見ているんだけど、どこだったかはどうやっても思い出せず…

カラスザンショウが近所にないかな〜と探し歩いている時に、違うんだよな〜とシンジュを見ている。

もう数年前のことだから思い出せないけど、どこか近くにあるはずなんだよ…

比較的近場の散策地でも見てる記憶があるし、河川敷にはけっこうあったような…

昨日のうちに見に行っておけばよかった…


昨晩遅く、残っている幼虫が歩き始めちゃった。

なんとなく持ちそうな葉っぱだったから、今日の昼に見に行こうかなと考えていたんだけど。

しょうがない、0時を回った頃に近くの公園へ。

やっぱりなかったので、確実にある捕獲場所へ行ってきた。

昼だと一時間ちょっとかかるけど、夜中だと30分ちょいで行けたので軽いドライブ気分。

で、現地では食樹を二本確認していて、そのうちの一本に幼虫がたくさん付いている。

見てみると、もうほとんど葉っぱは残っていなく、幼虫の数もかなり少なかった。

繭はザっと見た限りでは確認できなかったので、大きかったのは歩いて移動したか?

まだ4齢幼虫もいたけど、全然葉っぱが足りないのでダメになるだろうな。

もう一本の木は何も食われていないので、葉っぱは無事に確保できた。

次は金曜日くらいまでに食草を確保すれば大丈夫か。

その一回で足りるはずなので、金曜に現地へ散策に行くか、もう少し近い場所で探してみるかだね。


長々書いといて写真を張らないのもなんなので、美味しい葉っぱが来て喜んでる子たちを。








23.11.1


昨日、なぜか1個体が落下していて落ちていた。

全く思い当たる不備はないんだけど…

もう1個体は順調に食っている。

だいぶ大きくなってきた(45ミリほど)ので、あと2〜3日で蛹化態勢に入るか?

お顔も一枚撮っておこう。










23.11.2


昨晩(22時頃)、ケースによじ登っていたので一応枝を入れておいた。

しばらくすると、繭作りを開始していた。

前回はケース外からなので、クリアな画像を撮るべくそっと棒を取り出した。





ちょっとすると、繭作りをやめて歩き出しちゃった…

しょうがない、クリア画像は諦めることにする。

で、急いでサクラの枝を取りに行ってきた。

金木犀よりも若干だけど枝は茶色いので、色違いの繭にしようと。

目論み通り、サクラで繭作りを始めた。

もう繭作りをやめるのは可哀想なので、ケース外からの撮影でご了承ください。

撮影は2:10。







今朝(8:40)、だいぶ出来上がっていた。

この後夕方まで出かけるので、帰る頃には完成してるんだろうな。





16:30帰宅。

やっぱり外見上はほぼ完成状態。

これまでの繭と並べてみたけど、色的にはそんなに変わらなかった。

ちなみに、新繭は左。





23.11.8


おそらくだけど、蛹化から二週間前後で羽化すると予想している。

最初の繭作り個体は26日に作り始めて、その日のうちにほぼ完了している。

成長が早い種なので、27日には蛹化しているとすれば、早ければ今週末

遅くとも来週初めには出てくるんじゃないかと考えている。

ちなみに、4つの繭全てが触ると音を鳴らすので、今のところ生存は確認済み。

ここ数日は、100年ぶりの11月夏日三日とかで異様な暑さが続いているので

今日辺りからチェックを強化しておく。





23.11.12


だいたいの予想通り、今朝1個体が羽化していた。

繭と共に撮ろうと思ったけど、かなり敏感なようですぐに飛んじゃった。

なので、私のズボンに止まったので…







敏感だけど、一旦止まればジッとしている。

じっくり撮影しよう。

















いいねいいね〜!

女の子みたいね。

まずは無事な羽化を喜びたい。

繭の上部から小さな穴をあけて出ていた。

あと3つあるので、繭から出てくるところから撮影出来ればいいな。








23.11.13


羽化1号の♀は昨晩21時過ぎに突然暴れだし、羽化してから24時間経たないうちに産卵を始めちゃった…







少し触ったらすぐに崩れるけど…

数十個全て同じ形なので卵でいいんだよね?

野外だと、♀の羽化と同時に♂が待ち構えていて、すぐに交尾するんだろうね。


で、本日未明の0時過ぎ、繭からシャカシャカっと短い音を連続で数回慣らし始めた。

一日数回長いシャカシャカは出していたけど、この短いのは初めてだ。

ピンときて、これは羽化なんじゃないか?と思い観察を強化すると、数分後に待望の瞬間が…





























↑から15分ほどして翅を閉じ、2号は無事に羽化を完了した。





繭から出てくるところを撮りたかったので、今回は大成功な観察になった。



朝、1号の卵が増えていないか確認。

暴れ防止であれから外に置いたので、寒くてジッとしていたようだ。

この2個体はお披露目があるので、もう少し綺麗な姿でいてもらわないと。


で、朝も寒かったので、やってくれるかな〜と期待してそっと手を入れたら…

目論み通りの擬死状態になってくれた。

光の関係で一枚目は今イチに…

ストロボを使えばよかったね。










23.11.14


どうせ死んじゃうなら、ケースの中よりも自然の方が多少いいだろうと、捕獲現場へ行ってきた。

幼虫発見時に一緒にいた散策仲間さんも見たいとのことだったので。

というわけで、朝10時過ぎでも肌寒い中で撮影会を開始。

まずは2号ちゃんから。

この子は、羽化してから一度も飛翔していないと思われる。













次に1号ちゃん。

何度かケース内で飛んでいたけど、擦れや欠けはなく状態は良い。













撮影後、上の方の葉っぱに飛んで行って止まった。

現地のシンジュの木はだいぶ落葉していたので、次の世代へのバトンは途切れることになる。

これも偶産の運命なので仕方がない。


残り二つの繭も生存しているので、近々羽化すると思われる。

他の散策仲間さんにもお披露目することになっている。 人気者だね。

撮りたい場面はだいたい撮影できたので、残りは軽く報告という感じでレポする。





23.11.20


3つ目の繭は羽化せず…

一週間遅れで繭を作った最後の子の羽化予想は、早ければ昨日だったけどまだ出ない。

この一週間で夏の気温から、一気に秋というか初冬くらいまで下がっているので数日遅れなのかな?

時折シャカシャカっと音を立てるので、まだ生存はしている模様。

今日か明日と思われるが…





23.11.22


21日の23時過ぎから、シャカッ、シャカッと単発で音を出す回数が増えてきた。

生存はしてるね、そろそろ出る頃かな〜と思いつつ深夜のお買い物へ。

0時半頃に帰宅すると、無事に羽化していた。











男の子っぽいかな?

もう一人散策仲間さんに見せる約束をしていたので、羽化してくれてよかった。

三番っ子がダメだっただけに…

とりあえず、散策に出かける予定はないし、逃がしてもだいぶ寒くなったからすぐに死んじゃうだろう。

我が家で最後まで面倒を見ることになると思う。


幼虫からではあったけど、今回は大成功ということで終わりにしたい。





23.12.6


羽化からちょうど二週間。

我が家付近は最低気温が0度近くになる日も多くなり、外に置いていたので気になっていたが

今日見てみると元気じゃないか!

部屋の中を飛び回るほどピンピンしていた。

網戸でパタパタしている姿を一枚。


勝手に寿命は二週間くらいかなって思っていたけど、案外長生きなんだね。

寒い中置いていたので、無駄な体力を使わなかったというのもあるかもしれない。


この子は本日友人に発送したので、更新はこれが最後となります。






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