観察レポ =ツマベニチョウ(九州産)=


15.10.28


九州遠征で、ツマベニチョウが産卵していた。

残念ながら、産卵中の画像は撮れなかったけど、産みたての卵はちゃんと見つけた。



10月26日


食樹的に我が家での観察は厳しいと思っていたけど、現地で調べるとギョボクは買えるようだ。

せっかくだから挑戦してみようか… ということで、2つお持ち帰りすることにした。



10月27日


10月28日





15.10.30


ギョボクは明日到着予定となっている。

卵が付いている葉もあと数日は大丈夫そう。 水揚げは悪いという話だけど、意外と持っている。


見た目の変化はあまりないけど、上の方は色が濃くなってきたかな?

本日午後に撮影。





夕方、色に変化が…

なんとなく、幼虫の体がうっすら見えるような気がする。







PM11時過ぎにチェックすると、2個体同時に孵化していた。







明日食樹が届くまで、なんとか凌いでくれよ…





15.10.31


朝起きると、ジッとしていたので安心した。。







毛先に点々と水滴のようなものが付いているが、これは毒なのだろうか?

捕食者から身を守るため、毒のような成分を体内に持ってるような記述を見かけた。



午後になり、ようやくギョボクが届いた。

しかし、このギョボクにはアリが繁殖しているようで、いくつも歩いている。

大丈夫なのか? 食草として売っている業者なのだが、これはちょっと良くないんでない?





毒があるということも踏まえてとりあえず移動させ、しばらくしたら新しい木へ移っていった。

アリは見つけ次第退治するようにしないと。

今日の段階で、十数匹を撃退した。 まだけっこういるだろうね…







寝床が決まっていないのか、しばらくすると移動する。

これを探すのがもう大変… 葉脈にいると全くわからない。

↑の写真は、小さい葉なので目立っていたけど。

多少は食っているようなので、いろいろと気を付けながら観察していく。





15.11.1


とりあえず、細々ながらも食べているのを確認できたので一安心。

普段は、中央の葉脈根元付近でジッとしているのでとても見つけづらい。

食事の時に葉先方面まで移動して、食後にまた寝床に戻るようだ。

アリは今日は見当たらなかったけど、油断せずに観察していく。










15.11.2


これだけ食えば一安心かな。

心配点は、2個体いるのでこの木だけでは足りなさそう。

違う店でもう一つ購入しておいた方がよさそうだ。

葉の色が薄いので、近々落葉するのでは?と思える。

合いそうな土を買ってきて栄養をあげて、直射日光にも当てるようにしてみる。










15.11.3


まだ初齢のようだ。

ツマベニチョウの幼虫は、少し食っては違う葉へとよく移動する。

食い痕が目立つ前に移動して、身を守ろうとする知恵なのだろうか?








15.11.5


31日になろうという時に孵化したけど、未だに初齢だろうか?

ずっと固まっている時がないし、見た目の変化もあまりない。

初齢期間が長いような気もするけど、室内とはいえ涼しいっちゃ涼しめなので

成長がゆっくりなのか? それとも2齢になってるん?

画像は、本日未明。







2個体いれば絶対に足らなくなると予想されるので、ギョボクをもう一つ注文した。

ちょっと黄色くなってきた葉が増えてきたけど、そんな葉でもかまわず食っている。

終齢になるまでは持ちそうだけど。









15.11.6


昨日の午後くらいからジッとしていた。

ようやく脱皮するのかなと見守っていた。





本日の夜、2個体とも無事に脱皮していた。







しばらくすると行動を開始。

初齢の時とは違い、ジッとしている時は首を上げるようになった。

だんだんらしさが出てきた。








15.11.7


昨晩未明、いつの間にか同じ葉へ…

喧嘩しないかずっと注意していたけど、とりあえず大丈夫そうだ。





起床してチェックすると、1個体しか姿が見えない。

見つけづらいのはわかっているけど、葉も枝も全て隈なく見てみるも発見できない…

アリ避けをしているので、木から離れることは考えづらいし。


嫌な予感がして調べてみると、幼虫同士が共食いしている画像が見つかった。

まさか… マジかい… まだ葉っぱは十枚以上あるじゃん…


同じ葉に移動してきたのは、それが目的だったのか、たまたまその葉に来たので

どちらかが自衛的に食っちゃったのだろうか…







後になって、「どこにいたんだよ〜」 というオチを期待しているけど…

共食いするのがわかったのでちょっと諦め気味。 お前は順調に育て!

明日、ギョボクがもう一本到着するんだよな…





15.11.9


やはりもう1個体はどこにも見当たらず…

7日最初の画像を見て、共食いしてもおかしくない雰囲気だよな。

ツマベニチョウを観察する機会は今後あるかわからないけど、

他の種でもこれからは細心の注意をしていこうと思う。


昨日、注文してあったギョボクが到着した。

別のショップで購入したので、アリなどの余計な虫は付いていなかった(笑)

これで葉は余るくらいだろうから、思う存分食べていいんだけど、今のところはまだ食が細い。

成長がゆっくりなのは、室内とはいえ気温が高くないから?

とりあえずは、このままの調子で見守っていきたい。








15.11.10


見た目の変化は乏しいが、ちょっと大きくなってきた。

そろそろ3齢になる頃かな?








15.11.11


やっとイモムシを観察しているという感じになってきた。

よく動いているので、まだ2齢のままだと思うけど、質感的にはだいぶ変わってきた。

昼は葉を移動していたけど、夕方からずっと落ち着いている。

明日には3齢になっているかもしれない。










15.11.12


昼は葉を食っていたけど、夕方からはジッとしている。

頭の後ろがくびれてきたので、こうなったら脱皮は時間の問題。

今晩の段階では変化はないが、明日起きたら3齢になっているかもしれない。








15.11.13


朝には加齢しているかと思っていたけど、変化はなく夕方までずっと動かず…

夜になってようやく脱皮した。

3齢になり、少しは食うようになるかな?


今頃の沖縄の最低気温は17度位のようなので、室温がそれを下回るようならば

ちょっと早いけど暖房を入れて対応しようと考えている。








15.11.14


ナイスポーズ!










15.11.16


本日未明、チビチビながらも一生懸命葉を食べていたので撮影。









こちらは午後の姿。

ようやく20ミリに達した。 見た目はモンシロチョウの幼虫っぽいね。

次の脱皮から変わってくるだろう。





今日は夜も撮影。

体がツートンになっている。 ちゃんと食べているという証しだろう。








15.11.21


四日ほど家を空けたが、その間に4齢になっていた。

カミさん情報によると、19日に白い皮を食べていたらしい。

側面に模様が出てきて、だんだんらしくなってきた。








15.11.22


ちょっとは食べる量が増えてきた。

寝床は決まっていて、食事は隣の葉というのは変わらず。








15.11.23


だいぶ食うようになってきた。

一回に食べる量はそう多くないけど、ちょこちょこ移動して食いに行っている。









15.11.24


久々に晴れたので日光浴。

40ミリくらいになり、だいぶしっかりしてきた。










15.11.26


昨日で食事の葉を食いつくし、移動せずに寝床の葉を食べ、そのままそこで休息している。

本日の昼頃から動かなくなった。

明日には終齢に脱皮するものと思われる。








15.11.27


午前は動きがなかったが、午後に帰宅すると脱いだ皮を食べていた。

いよいよ終齢になった。 どんどん迫力が増してくるだろう。








15.11.28


まだ食欲はそうでもないかな。

今日は正面から撮ってみよう。








15.12.1


昨日辺りからバリバリ食い始め、急激に大きくなった。

70ミリは越えただろうか? 逞しくなってきた。












15.12.3


体長を計測しようとすると、警戒して縮こまり威嚇する。







歩いていて体が伸びきった時に印をつけて計測してみると、約68ミリだった。

もうすぐ蛹化態勢に入るかな?










15.12.4


あの〜 食いまくってるんですけど…

もう1個体いるので、早く蛹化してくれ(苦笑)










15.12.6


本日午後、ゆっくりと木を行ったり来たりしていた。

いよいよ蛹化態勢に入ったようだ。





まだ手乗せしていなかったので最後に堪能した。









見た目と同様に、背中の肌触りはザラザラ。


とりあえず、ケースに移して様子を見てみる。





なんか落ちつかないね…

調べてみると、ギョボクの枝や葉裏で蛹化するような記述がある。

もう一度木に戻してみるが、やっぱり落ち着かないようで地面までおりてきた。

園芸用の棒を添えてみると…







これでいけるかと思いきや、まだダメそうなので、小さめのケースに強制収容。

しょうがない、お仕事に行かなきゃなので…



夕方帰宅すると、一ヶ所で落ち着いていた。

その後、一旦うろつくも、元の場所に戻ってきてようやく決めたようだ。

↓画像は、カメラがケースに当たっちゃってのけぞりながら威嚇。








15.12.7


今朝、場所が変わっていなかったので、もうここで決めたようだ。

ヘビの顔っぽかった斑紋が消えていた。





午後にはすっかり前蛹に。

あとはそっとしておくだけ。

夜もこのまま変わらずで、明日の朝には蛹になってるかな?








15.12.8


今朝の段階で、まだ蛹化はしていなかった。





今日は仕事が忙しく、昼に帰ってこれなかった。

夕方前にようやく抜け出す時間ができ、さっそくチェックしてみる。









見事な蛹へと変身していた。

幼虫が大きかったので、蛹も当然ながらでかい。

現在の気温やこのサイズの蛹ということから、全く孵化の時期が読めない。

南国でもこの時期の蛹は休眠するのかな?

とりあえず、気温には充分に気を付けながら羽化を待つことにする。





15.12.11


画像は本日未明に撮影。

透明感はなくなってきた。 顔の先端が黄色いね。


九州でも冬に羽化することはないと思うので、やはり春になってからなのだろうか?

室温なので、真冬に羽化してしまう可能性もあるけど。





15.12.15


大きな変化はまだない。

数日おきに撮っておく予定。








15.12.18


本日未明、カタカタカタカタとすごい音が…





何か虫でも触れたか、埃でも体に当たったのか…

振り払う音がプラケースに大きく響いてビックリした。

↑写真は、体がよじれております。

しかし、生きている証しでもあるので安心。





15.12.20


うっすらと、翅の部分に紅色が出てきたかな?

数日後には羽化しそうだ。








15.12.21


まだ薄いも、はっきりと紅色になってきた。

♂っぽいね。








15.12.22


夕陽を浴びて…

昨日より若干色付いてきたけど、日向で撮影するとわかりづらいね。








15.12.23


本日未明に撮影。

少しずつ色が濃くなってきてるのかな?







今朝見てみると一変していた。

翅の部分は透けている。

今晩辺りには羽化するかもしれない。







午後3時過ぎに、「サナギがバタバタしてるよ〜」 と連絡を受ける。

もう少しで一旦帰れたのに… ちょっと遅かった。





カミさんが気付いた時には、↑のような状態だったようだ(撮影はカミさん)。

家に戻るとだいぶ翅は伸びてきていた。

まだ乾かす作業真っ只中。











このままそっとしておき、午後7時半頃に手へお招きした。





フラッシュを焚くと、裏側は金色になるんだね。

とっても綺麗だ。











しばらく遊んだけど、まだ完全に乾いていないようで、翅は少し湿った感じだったので、

食べ育ってきたギョボクへ移動させた。



午後9時半頃、仕事から帰り飯を食っていると、ヒラヒラと部屋を舞った。

まだ弱々しい感じの飛び方だった。









♀だったね。 産卵から59日目での羽化でした。

無事に綺麗な姿を見せてくれて嬉しい。


ツマベニチョウ15(沖縄産)
も蛹になっているが、そちらの羽化は年を越しそうだ。

ギョボクは手元に残しておくので、来年以降も機会があったらまた観察してみたい。


ごっちゃになりそうなので、11月半ばに持ってきた卵は、ツマベニチョウ15(沖縄産) へ移動しました



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