観察レポ =ウスタビガ=


11.11.3


昨晩の散策でウスタビガの♀を連れ帰った。 そう、卵を産ませたいので。

昨年もちょっと考えていたけど現地では産ませられず、

繭に付いている卵をと探すも繭すら見つからず…

で、持ち帰ったわけだけど、家に着く頃にはすでにいくつか産んでいた。

現地で気付いていればリリースしたのにな。


今朝、記念に撮影しておいた。







今のところ7つの卵が確認できる。 もうこのくらいでいいよ〜(苦笑)

でも、クスサンと違って固めては産まないようだ。 みんなバラバラの位置。

移動中はハードな運転だったからその影響かも。








もっとたくさん産んじゃったら、孵化後に捕獲した辺りへリリースしてこよう。

一応、10個体くらいなら面倒をみようと考えている。








無事ならば来年の4月半ばには孵化するかな?

それまでは北側の寒い場所に保管しておく。






11.11.8


遠征から帰ってきたら♀が落ちていた。 結局2つ増えて9個産卵した。

そのうち3つは下にコロコロ転がっていたのでダメかもしれない。

いくつ孵化してくれるかな? 来年のお楽しみ。





12.3.30


寒かった冬も終え、暖かな日が増えてきたので久しぶりにチェック。

9個のうち、葉っぱに産みつけてある1個だけ黒く変色。

ダメになっている可能性もあるけど、もうじき孵化のような気がする。

食草はまだどれも芽吹いていないので、孵化した際の対策を考えておかなければ…







残りはまだ変化なし。 いくつ孵化してくれるかな? できれば5個くらい孵ってくれると安心。








12.4.10


本日未明、散策から帰ってくると孵化していた。

3.30の黒い卵だけ室内の涼しい部屋に入れていた。







取り急ぎエノキを見に行くと、なんとか芽吹いているのがあったので入れてみた。

散策でウスタビガの幼虫がエノキにいるのを二度見ていたので。









とりあえず少し食べたので一安心。

ケヤキやコナラはまだ芽吹いているのを見ていないので、サクラの葉っぱをとってきて与えてみる。


外に保管の卵8個はまだ変化なし。 いくつか孵化してくれるといいけど…





12.4.11


昨日の夕方からサクラの葉を入れているが、やっぱりサクラの方が好みのようだ。

少量だけどちゃんと食べている。 もう少し大きくなればバリバリ食いだすだろう。

来週にはコナラも葉が出そうなので、好みの方を与えたい。

このまま問題なく順調にいってほしい。








12.4.13


少し大きくなってきた。 近いうちに脱皮するものと思われる。

サクラの食いっぷりがいいので、しばらくは食草を固定してみるかも。








12.4.15


体長は1pちょいで、孵化直後の倍くらいになった。

毛が短くなったように見えるけど気のせい? まだ初齢なんだろうか?

サクラは水揚げがいいのかよく持っているけど、

葉が少なくなってきたので新しくとってきて与えた。








12.4.17


上の画像から全く動かず、脱皮間近ということがわかった。 本日早朝、無事2齢になった。

今晩辺りからバリバリ葉っぱを食べるだろう。







夕方、所用から戻りチェックすると、外チームの8つのうち6つが孵化していた。

残り2つは明日辺りか孵化しないか…

この6個体はようやく芽吹いてきたコナラを与えてみる。



(2齢幼虫がサクラをバリバリ食っているため、画像を撮った後にサクラも入れました)





12.4.18


残り二個の卵も本日孵化。 すべての卵が幼虫になった。

そういえば、秋に2個追加で産んでたっけ、遅れはその分かな。

昨日、サクラを追加してコナラと一緒に入れたが、幼虫たちはコナラに集中している。

2齢幼虫はサクラしか食わせていないけど、コナラを与えた方が親切かな…


ウチでの飼育は4個体いれば充分なので、たくさん孵化したら現地にリリースする予定だった。

虫友さんに飼育してみる?と連絡してみたら、「よかったらお願いします」 とのことだったので、

初齢5個体を本日里子に出した。

今までたくさんの昆虫を飼育されていて、愛情込めて大切にしてくださるのはわかっている。

遠い地で無事に成長してほしい。

4個体いれば♀♂偏らないだろう。 結果は秋だけど、もし偏ったら笑ってやってください。





12.4.19


2齢になった途端、成長が早く感じる。 急に大きくなった。

葉っぱがなくなってきたので夕方にでもとってくる。

サクラだけで継続か、コナラも混ぜてあげるか…








12.4.22


真緑になった。 3齢に脱皮したようだ。 形は2齢とあまり変わりない。








12.4.23


小さいチームは3個体まとめている。 本日、1つが脱皮した。

もうしばらくはこのまま複数管理していく。








12.4.24


小さいチーム、もう1個体脱皮した。 残りも明日辺りにはするだろう。

大きい個体はさらにパワーアップ。

とってくるサクラにいろいろと虫がついているので、そろそろコナラに切り替えてみようかな…








12.4.25


小さいチームが近くに固まっていたのでパシャリ。





初齢はまだ脱皮していないようだ。

そろそろと思われるけど、他の2個体と比較すると成長が遅い。

単独飼育の大きい個体はジッとしている。 4齢になりそうだ。





12.4.27


本日未明、大きい個体の脱皮直後。 4齢幼虫となった。





午後、改めて撮影した。









頭部後ろに傷が見える。 脱皮の際に傷ついたのかな? 大丈夫ならいいけど…





12.4.28


2齢から3齢に脱皮中。 刺激しないため、ケース外から撮影。








12.4.29


昨日の個体とほぼ同時進行だった幼虫が脱皮できず落ちた。 原因は不明…

これで3個体になった。 4齢・3齢・2齢と成長過程はバラバラだ。

4齢は傷があるのがちょっと気がかり…





12.4.30


2齢が脱皮した。


4齢(画像)は傷があるが、現在のところ全く問題ない様子。

このまま順調にいってくれればいいけど。

今日、葉っぱを交換する際につまんでみたけどまだ鳴かなかった。

終齢にならないと鳴かないのかな?








12.5.5


大きい幼虫、お尻から血のようなものを流している。

まだ生存してはいるが、ちょっとダメそうだ。

けっこう大きくなってきたところでこの状態は残念でならない。


残りの2個体は4齢と3齢。 今日写真を撮っておいた。

♂♀両方と思っていたけど、そうも言ってられなくなってきた。

無事に羽化までいってもらいたい。



4齢


3齢





12.5.7


大きい幼虫は、本日とうとう力尽きた。 傷が出来、細菌でも入ったのかもしれない。


残り2個体のうち、一つが終齢に脱皮した。 背中の突起がほぼ消滅。

お尻のあたりをつまむと、「チュ〜」 とネズミのように鳴いた。 これがやたら可愛い!

あまりやるとストレスとか与えそうなので、あと一回くらいだけ今度やってみよう。

動画のアップをしたいところだけど、You Tubeとかへの投稿方法を知らない。

いずれそういうのも取り入れていければなと思う。





本日、野外でウスタビガの幼虫を見ることができた。

涼しい山に生息しているので、まだ初齢と2齢だった。

飼育下では成長が早すぎるね…





12.5.13


9日にもう1個体も終齢に。

先に終齢になった個体は6pくらいある? 手乗り画像を撮った。

なんかもう繭を作ってもおかしくなさそうな雰囲気。












12.5.19


まぁよく食うこと… エサとりが大変だ。 この2個体は順調にきている。

大きい方は終齢になって十日以上経つが、いつ繭を作り始めるのだろう?

今作りはじめたら羽化は真夏か? それも問題…


今日は小さい方(といっても、今では大きさは一緒)にモデルを依頼。

ついでにチュ〜と鳴いてもらった。










12.5.23


今朝、大きい方がいつもと違う動き。

糸を吐いているので、どうやら繭作成に取り掛かるものと思われる。





夕方前に一旦帰宅。

まだうろちょろしていて場所が決まっていないようだ。 人工物だと気に入らないのだろう。

ちょっと大きめに枝をとってきて、特設蛹化ルームを用意した。


しばらく徘徊して、なんとなく場所が決まったっぽい。 このまま様子を見ていきたい。












12.5.24


昨晩寝る前(夜中)、糸を吐いているような作業をずっとしていた。

刺激したくなかったので、電気は付けずそのままに。

今朝、どうなったか見てみると…





うっすら中が透けているけど、ほぼ形はできていた。 夕方前には最終仕上げ。

繭の完成まで2〜3日かかるという情報だったけど、丸一日で完成しそうな雰囲気。



繭上部 ここを閉じるのは最後なのだろう


繭下部 雨水の逃がし口を作成中


ここまでくればもう心配はなさそうだ。 とりあえず見守るのみ。





12.5.25


本日午後、いよいよ最終段階か? 繭全体が厚くなり、あとは蓋をするだけのような雰囲気。

ここまで一日半。 一日でほぼ出来上がるも、完成まではやっぱり二日かかるみたいね。





もう1個体の幼虫も、いつ繭作りを始めてもおかしくない感じ。 近々変化があるだろう。








12.5.26


未明、繭から 「チィ〜〜〜〜〜〜」って声が何度も響く。 大丈夫か!?





12.6.1


【遠征中のため、撮影・管理はカミさんが担当】


もう一個体も繭を作りそうだったので、遠征前(31日)に対処しておいた。

案の定、本日の午前から作業を始めたとのこと。






この薄い繭の状態は、前回夜中で撮れなかったのでうまく撮っておいてほしかった…

夕方には下記画像のようにだいぶ厚くなっていたとのこと。

あとは少しずつ出来上がることだろう。








12.9.16


トイレに入っていると、『パタパタパタ』 と音が聞こえてきた。

すぐに察しがついたことは言うまでもない。






野外ではまだ3齢くらいで、我が家では繭を作り始めた。

1ヶ月以上早く羽化するだろうと、先週辺りから毎日チェックしていた。

昨日もチェックし確認していたので、昨晩か今朝方羽化したのだろう。


残念なのは、ちょっと翅が皺っぽくなってしまったこと。 原因はなんだろう?

構造的に繭に水抜きがあることから、いくらか雨(水分)が必要だったのだろうか?

もう1個体の羽化を待って判断したい。















もう1個体は、一週間遅れで繭を作った。 来週には羽化するのかな?

この子が一週間生きててくれるか微妙だけど、もし間に合って♀が羽化してきたら

交尾させてみたいと思う。





12.11.6


1個体は9月のうちに成虫になってしまったが、もう一つの繭に変化はなし。

もう出現時期なのだが、まだ出てこないとなると落ちているかもと思う方が正解か。


構造的に、繭の下部に穴が開いている。

これは繭内に入った雨水を流すためという話がある。

そう考えると、ある程度は水分を必要とするのだろうか?

ほとんど湿気がなかったので乾燥してしまったのかもしれない。

実は、羽化した個体を見てそう感じたので、これまで何回か霧吹きしていた。

その時点ではもう手遅れだったのかもしれない。

とりあえず、もうしばらく様子を見てみるけど…












12.11.8


毎日欠かさず何度かチェックしていた。

21時前に仕事から帰宅すると、繭に小さい物体が付いている。

よく見てみると、繭から出てきたばかりのウスタビガ。

心配だったけど生きていたんだ。 無事に出てきてくれて嬉しかった。

さっそく部屋に持っていって観察した。

























翅が伸びてからは、このままの態勢でジッとしていたのでケースに収納。

最後の写真は、移動する際に怒ったので追加で撮影。

体が大きいからか、翅が伸びきるまで約一時間かかったけど、問題なく羽化することができた。


乾燥は問題なかったようだ。

9月に羽化しちゃった♂は翅の先端が皺になったけど、これは伸ばした所に地面があったっぽい。

もう少し高い位置に繭を置いておけば防げたと思われる。


♂の早期羽化で心配だったけど、この♀は本来のウスタビガシーズンに羽化できた。

捕獲場所よりも気温が高いので、遅れ気味で羽化したのだろう。

九州のウスタビガは、こちらより2週遅れといった感じだったし。

まぁ、♂はなんで9月に?という疑問は残るけど…

明日の夜、ちょっとハードだけど仕事帰りに現地へ行ってみる。

もし♂が見つかれば、交配させて次の世代も観察してみたい。

♂が見つからなければそのままリリースしてこようと思う。





12.11.11


羽化後、数日の命しかないので、元気なうちに行動した。

9日、仕事が終わってから♀を連れて山へ♂探し。

♂が見つかれば交配させてもう一世代やってみようと。

しかし、いろいろと走ってきたけど♂の姿はなかった。

♀はけっこういたんだけど… ウスタビガは♂を見つけるのが難しい。


最後に寄った所が捕獲現地だったので、このままリリースすることにした。

無事に♂と出逢って子孫を残してほしい。

丸一年、楽しませてくれたウスタビガに感謝。






来年に向けて新たに♀を拾ってきたので、別コーナーにて観察してみる予定。

その模様は、こちらで報告していきます。 (観察レポのトップページからも見ることができます)



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